翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

俗語之種. [4] - 翻刻

俗語之種. [4] - ページ 14

ページ: 14

翻刻

なれは路用はもとより旅の空今より 此身を如何はせんと狼狽歎く人〳〵の 数をも知らぬ遠国他国さこそとおもひ あはすれは拙き筆には記しかたし 爰に幸一か幸ひなるは出店なる梅笑堂 にて売上銭のありけれは杖柱とも持 出し貯置し事なれとも今更是を何 にかせん纔なれとも草鞋の料にもなし 給んと差出しても受とらす昨夜よりして 段〳〵お世話になりたるうへいつれの方か 見知なけれはお返しまをすに便りもなし 女わらはの恥かしく襦袢ひとつかひいきの 沙汰下帯さへなき此姿を嗜しらぬ女ゆゑ かゝる始末と笑ひ給ふも理りなれと宿屋も 旅人の多けれは居風呂とてもはかとらす 旅行の労れ其侭にうちふしたるを 此騒動または翌日のつかれを案し起出て 湯に入りたるを其侭に打潰れて途方を 失ひ漸くたすかり遁れいてかゝる姿の 恥かしさと打伏歎く計りなりかゝる未