翻刻
聞の大災を受る時節にいたりてはやるも
返すも心底なり実に誠欲を離れし
正銘正法世に他人なきしんじつ是実に
願はしき次第なり斯てもはてしなけれは
とて泣〳〵別れ西に行東に行けと国に
帰りて親たちに何とて言訳すへしとて
又行兼て地にひれふし今宵の泊りは
いかゝせん明日の道連いかゞはせんと無回?斗
身を案しつゞ狼狽歎き別れける
○案するに如斯大に震ふとき
中に釣提あるもの社【こそ】
心安きはあらさあるへきを
善光寺御堂左右に有ける
大鐘を震ひ落したる事を
後にも猶驚怖すへしかゝる
重きものゝさかさまに
ならすんは落つ事は有
へからすと其大なるを爰にしるす