翻刻
【右側】
銀一ッ可遣と申ゆへ甚腹立ゐる時伊予伊之助銭財
布に七分銀と銭と一ッに入有しを見かけ其銀押取に
せんと手さしせしまゝに太吉腹立包に入持し小庖丁
を持て突かゝらんと見せかけけれは甚恐れ逃さりけり
異国の者は身より血を出す事甚恐れ嫌ふのよし
それより太吉イキリスの舟にて印を見覚有之ゆへ夫に
参り尋んと参りかゝりし折から十三四才の男にあひて
【左側】
次第を申マサタランゟ出し国々送状并アメリカ大船より
与し行先所書見せけれは懇におしへしはアメリカ人にて有
しその人とわかれ参りしにいまた心遣ひにや思ひけん
跡より追かけ参り其人ロツパタ門口前迄連行ける外国
人はかゝる若年にても心切ありしに唐人のなせる事
言語に絶し事也イキリス国勤方ロツハロメへ参り次第を申
右ニ通の書付さし出しけれは早速夫〳〵手数有之