翻刻
【右側】
しらぬは唐人也舟銭を取ニンホへは行すチンハイに上陸
させし事うらめしく思ふ折から其所へ又渡海の船頭
とも見へニンホへの渡海を申ゆへ賃銭尋けれは七百文
にて渡すへしと申ゆへ弐百文にて渡らんと申せは船頭
五百文にて渡さんと申せ共弐百文の余は出すましと申せは
夫にて相談相済夫ゟ又渡舟にてニンホの舟頭は外海
より瀬戸川を入段々と川巾五十間三四十間の川を入り
【左側】
其日七ッ時分着船しける直に上陸して行先尋けれは
教る人一人もなく依てそこに立寄こゝにとゝまり尋れ
共教る人はなく只々日本人を見物にたかる人多き計
にてたよるへきてだてなく空腹にも有まゝに一膳飯
喰んと立寄はそれにも付添たかり懐の内迄も見ほし
けるゆへそこ〳〵にして其家を立出又先へ行かゝりける
道に小川有て六文位にて渡るへき川を壱舟に三百文の