翻刻!地震・災害史料

コレクション: NDL地震・火山

鶯宿雑記. 巻199-200 - 翻刻

鶯宿雑記. 巻199-200 - ページ 103

ページ: 103

翻刻

 の中に割て入面も不振戦しか余多の敵を伐落し我身も  数か所の疵を蒙りけれは是迄と思ひ切馬ゟ下に飛て  下り自害せんとする処に敵の兵透間もなく馳来る心得  たりといふ儘に真先に進む兵の諸脚薙て切伏せ二  番に続く兵と引組て刺違て共に空敷成にけり爰に柚  木崎丹後守は一人跡へ踏止り大音上て呼りける是は義祐の  郎等に柚木崎丹後守政家と申者也忠平の御内に名  ある侍しはし申入度子細有是へ〳〵と招きける勝に乗る  雑兵共耳にも更に不聞入我討取んとひしめきける丹後  守は是を見て理非をもしらぬ奴原哉そこ立退という儘  に遮る敵を弓手馬手に切て捨て忠平の旗本に真一文字  に駈来り忠平其由御覧して是は名有侍と聞子細を聞と宣へは  旗本の兵共丹後守を中に取込丹後守馬ゟ飛て下り打物  からりと捨いかにかた〳〵聞給へ我等か主の義祐は嶋津殿の御  恩を蒙り栄花に盛し人なれ共逆心を企天命に背申候故  此度の合戦悉く敗軍し家の滅亡不遠嶋津殿の御家に  降参申度は候へ共賢臣二君に不仕といふ本文の詞に恥只今討  死仕幼少の一子候を忠平様に奉り哀高きも賤も子を  思ふ道に迷事押はかり給へし此事申さんか為に是迄参候也  今は思ふ処なし首をめされ候へと甲を脱て彼所へ捨もんじん【(問訊=合掌低頭)】  してこそ【強調】居たりける忠平此由聞召哀成事共哉一子の事は  扨置汝も降参仕れひらに〳〵と宣へは丹後此由承りこは