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は物を能聞や世の有様能見るに伊東の御家終に滅亡被成
へし嶋津殿御家は末盛へき御仕置鏡に懸て覚たり
福永殿御家此節滅せん事無念さに御台若君の
御供し薩摩方へ降参し主君の御跡滅却せんやうに方々
落よと言けれは恒房【前コマでは経房】聞てこは仰共覚えぬ物かな福永
殿も内山に御越有定て切腹可被成主君と親を見捨
つゝ敵の方へ降参せは屍の上の恥也共に打死究んと落る
気色は無りけり恒高大に腹を立こは心得ぬ所存哉汝か
名利を思ふて主君の御家断絶せん事不忠の至是也其上
親の命を背ん事不忠の科を如何せんとかく利口をいはぬ
より急け〳〵と左もあらけなく申ける恒房泪をおさへ此上は
力なし契朽せす候はゝ後の世も廻り合可申と泪と共に御台若
君の御供し忍ひて城を落行恒高今はかく【斯く=これまで】と思ひ是迄
と残たる兵共を近付いかに旁最後の合戦未練すな
敵味方に笑はるゝなとて城中に火を懸天か霞と煙立る
本より恒高大力四尺斗の大太刀抜て真向に差かさし
門外に走出大音上て名乗福永か郎等早瀬兵部恒高
とて大剛一の兵也我と思はん者あらは早打捕て高名せよ
そこを引なといふ儘に大勢に割て入西から東北南蜘手
かくなは十文字八ツ華形といふ儘にさん〳〵に薙伏る実も敵は
堪兼風に木のはの散ことく村々ばつと逃にける爰に寄手の
方より村山源次奥野々藤太とて日頃手柄を顕し荒言吐たる