翻刻
【右丁 右側上下左側中央の順】
田(た)の中(なか)
に
居(ゐ)れば
八朔(はつさく)
苦労(くらう)なり【注④】
鉢巻(はちまき)を
すると
女房(にようぼう)
帯(おび)を
しめ
孝行(かう〳〵)のやうに水鳥(みつとり)
なつみ居(ゐ)る
【左丁 右側上下左側中央の順】
水鶏(くひな)にも
母(はゝ)は出(で)て
みる
物(もの)あんじ
強(つよ)いふり
俗(ぞく)が坊主(ぼうず)を
きて【注①】
あるき
空(から)つ(◦)【注②】
手(て)で
宝(たから)あわ
せに
伍子胥(こししよ)【注③】
勝(かち)
【注① 出家していない俗人が坊主合羽(江戸時代、オランダ人のカッパをまねて作った袖の無い雨合羽)を着ていること】
【注② 「◦」=空手(からて=手に何も持たないこと)を「からって」と促音にする意で付けたものと思われます。つまり現在の小さな「っ」を表わしているのでは。】
【注③ 中国、春秋時代の呉の臣の名。】
【注④ 八朔(旧暦八月一日)に吉原の遊女が白無垢で道中する習わしがあった。田の中では白無垢が泥で汚れて苦労するだろうとの意?】