琉球・沖縄の世界を翻刻する

コレクション: ハワイ大学所蔵 阪巻・宝玲文庫 vol. 1

中山伝信録 巻六 - 翻刻

中山伝信録 巻六 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

 使録云国中神有女王者王宗姉妹之属世由神選  以相代五穀成時女王渡海至姑達佳山探其穀穂  成熟者嚼之各処乃敢穫若未嘗先穫者食之即斃  故田間絶無盗採者  六月稲大祭選吉同日祭稲神 又有六月節国中  蒸糯米為飯家家相餉此日亦不作女紅不事田野  同上四祭日 此月有月之夜士民皆抜河争勝  七月十五日盆祭祀先預於十三日夜家家列火炬  二於大門外以迎祖神十五日盆祭後送神  八月家家拝月明夏子陽使録云俗有待月之願凡  月初三十八二十三夜皆修吉菓拝待初三夜焚香  対月拝十八夜焚香立待待升明而拝拝畢乃敢坐  二十三日焚香坐待待月出則拝謂可益寿延禧  白露為八月節先後三日男女皆閉戸不事事名守  天孫此数日内如有角口等諸事故必犯蛇傷国中  蛇九月出傷人立斃 同日蒸糯米交赤小豆為飯  相餉  十二月逢庚子庚午日通国皆作糯米糕棕葉包褁

現代語訳

使録によると、国中の神には女王がいて、王族の姉妹の類で、代々神によって選ばれて交代する。五穀が実る時、女王は海を渡って姑達佳山に至り、その穀穂の成熟したものを探して、これを嚼む。各所でようやく収穫することを敢えてする。もし未だ嘗めずに先に収穫した者が食べると、即座に死ぬ。故に田間には全く盗み採る者がいない。 六月 稲大祭 吉日を選んで同日に稲神を祭る。また六月節があり、国中で糯米を蒸して飯とし、家々で相互に贈る。この日もまた針仕事をせず、田畑の仕事もしない。上記の四つの祭日と同様である。この月には月夜があり、士民皆が綱引きをして勝敗を争う。 七月十五日 盆祭 先祖を祭る。予め十三日の夜に家々で松明を大門の外に並べて祖神を迎える。十五日の盆祭の後に神を送る。 八月 家々で月を拝む。明夏の子陽使録によると、俗に待月の願いがあり、凡そ月の初三夜、十八夜、二十三夜には皆吉果を修めて拝み待つ。初三夜には焚香して月に対して拝む。十八夜には焚香して立ち待ち、昇って明るくなるのを待って拝む。拝み終わってようやく敢えて座る。二十三日には焚香して座って待ち、月が出ると拝む。寿命を益し禧を延ばすことができるという。 白露を八月節とし、前後三日間、男女皆戸を閉じて事を為さず、天孫を守ると名づく。この数日の内にもし口論等の諸事があれば、必ず蛇傷を犯すことになる。国中の蛇は九月に出て人を傷つけ、立ちどころに死ぬ。同日に糯米を蒸して赤小豆を交えて飯とし、相互に贈る。 十二月 庚子・庚午の日に遇うと、通国皆糯米糕を作り、棕櫚の葉で包み裹む。