翻刻
【右丁 上段】
麁紙(あくし)あるひは色(いろ)
帋(がみ)半切(はんきり)の紙(かみ)すぎ
はらにあらざる料(りやう)
紙(し)は用(もち)ゆべからず
▲和字(わじ)難字(なんじ)の事
ふだん心にかけて
吟味(ぎんみ)し本字(ほんじ)正(せう)
字(じ)をもつて認(したゝむ)べし
片言(かたこと)をあらため
本語(ほんご)をせんさく
して書(かゝ)ざればその
人の常(つね)をはかられ
あさまに思(おも)はるゝもの
【左丁 上段】
なり書中(しよちう)は勿論(もちろん)
つねの詞(ことば)にもつゝし
むべき事なり
▲文才(もんさい)ある輩(ともがら)は
其/才(さい)をはたらかせ
て言(ことば)をたくみに古(こ)
語(ご)旧文(きうもん)を引(ひき)また
通例(つうれい)人のしら
ざる文字(もんじ)并【注】物(もの)の
異名(いめう)を書(かく)をみづ
から至(いた)れりと
おもへり当流(とうりう)には
これをもちひず
【12コマ目上段に続く】
【注 東京学芸大学教育コンテンツアーカイブ所蔵の異本(請求記号T1A0/62/21)には「(ならひ)に」と送り仮名・助詞あり】
【右丁 下段】
御前屋(おまへや)金佛壇(きんぶつだん)来迎柱 (らいこうばしら)透(すかし)
彫物(ほりもの)応(をうじ)_二其價(そのあたへに)_一而(て)結構(けつこう)無(なし)_レ限(かぎり)造(つくり)
花(はな)者(は)蝋引(らうびき)水打(みづうち)性摸(しやううつしは)誠(まことに)四季(しき)
目前(もくぜん)之(の)詠(ながめ)行人(いくひと)足(あしを)止(とゞむ)次(つぎに)碁局屋(ごばんやは)
局子(ごいし)碁奩(ごげ)象戯枰(しやうぎばん)【杵ヵ】駒(こま)双六(すごろく)
盤(ばん)采骰子(さいつゝ)等(とう)也(なり)琴師(ことし)者(は)筝(さう)和(わ)
【左丁 下段】
琴(ごん)者(は)海濵(うみはま)磯(いそ)龍角(りうかく)天人(てんにん)座(ざ)
柏葉(かしはば)鞠形(まりがた)三弦(さみせん)者(は)胴(どう)棹(さほ)猿尾(さるお)
根緒(ねを)天軫(てんじん)糸倉(いとくら)海老尾(かいらうび)琵琶(びは)
者(は)撥面(ばちめん)絡帯(らくたい)半月(はんげつ)兎眼(めんがん)【注①】覆手(ふくしゆ)
槽(こく)【注②】柱(ちう)皆(みな)一面中(いちめんちう)之(の)名所(めいしよ)也(なり)胡弓(こきう)
瑟(ひつ)阮(げん)等(とう)此職(このしよく)之(の)預(あづかる)所(ところ)歟(か)皆(みな)金銀(きん〴〵)
【12コマ目下段に続く】
【注① 振り仮名は「とがん」ヵ。「兎」を「免」に誤読ヵ】
【注② 「槽」は「胴の背面の板」の名称と思われる。読みは「そう」。別名「甲(こう)」とも】