翻刻
【右丁 上段】
本朝三筆(ほんてうさんひつ)【矩形で囲む】
嵯峨天皇(さがてんわう)は
人皇(にんわう)五十二代の
聖主(せいしゆ)御いみ名(な)は
神野親王(かみのゝしんわう)と申
たてまつれり桓武(くはんむ)
天皇(てんわう)の第(だい)二の皇(わう)
子(じ)にてまし〳〵けり
つねに経典(けいてん)を好(この)
ませ給ひ文章(ぶんしやう)は
玉(たま)をのべ筆勢(ひつせい)は
龍虎(りやうこ)の勢(いきほ)ひし
【左丁 上段】
たまふ弘仁(こうにん)九年
四月 殿閣(でんがく)の諸(しよ)
門(もん)の額(がく)をこと〴〵く
書(かき)あらためらるゝ
に北門(ほくもん)はすなはち
御宸筆(ごしんひつ)にて
東(ひかし)おもては橘(たちばな)の
速勢(はやなり)南西(みなみにし)なら
びに應天門(をんてんもん)は
弘法大師空海(こうぼうたいしくうかい)に
書(かゝ)せらるなを
花(はな)の宴(ゑん)も此(この)御代(みよ)
にはじまるとなり
【15コマ目上段に続く】
【右丁 下段】
小刀(こがだな)鉈(なた)釘(くぎ)鋲(びやう)等(とう)雑具(ざうひん)之(の)鉄匠(かぢ)銅(どう)
壷(こ)薬鑵(やくわん)類(るい)之(の)職方(しよくかた)飾金具師(かざりかなぐし)
彫物師(ほりものし)者(は)後藤氏(ごとううじ)代々(だい〳〵)家彫(いへぼり)与(と)云(いふ)
其外(そのほか)奈良鐫(ならぼり)横谷(よこや)大森(おほもり)柳川(やながわ)
濱野(はまの)等(とう)之(の)名家(めいか)有(あり)所謂(いはゆる)縁頭(ふちかしら)目(め)
貫(ぬき)鐔(つば)小柄(こづか)揥枝(かうがい)高彫(たかぼり)平彫(ひらぼり)片切(かたきり)
【左丁 下段】
彫(ほり)色繪(いろゑ)象眼(ざうがん)魚々子(なゝこ)金覆輪(きんふくりん)
各(おの〳〵)用(もちひ)_二槖籥(ふいごうを)_一造(つくる)_レ之(これを)冶工(やこう)者(は)俗(ぞくに)云(いふ)鋳(い)
物師(ものし)也(なり)錫(すゞ)道具(どうぐ)鍋(なべ)釜(かま)鑵子(くわんす)提飯(ひさげはん)
銅(どう)薬研(やげん)硫黄突(いわうつき)燈心引(とうしんひき)油絞(あぶらしぼり)仏(ぶつ)
像(ざう)佛具(ぶつぐ)等(とう)銅(あかあかがね)鉄(てつを)堝壷(るつぼに)盛(もり)以(もつて)_二踏鞴(たたらを)_一
鑠(とろかし)_レ之(これを)型(いがたに)流而(ながして)造立(さくりうす)秤屋(はかりや)者(は)於(おいて)_二東国(とうごくに)_一
【15コマ目下段に続く】