翻刻
【右丁 上段】
釋空海(しやくくうかい)
讃岐國(さぬきのくに)屏風浦(びやうぶうら)
の住人(じゆうにん)佐伯直氏(さえきなをうじ)
の子(こ)にて幼名(やうめう)貴物(きぶつ)
といひしおさなき
より才智(さいち)凢(ぼん)なら
ず廿/歳(さい)にして釈(しやく)
門(もん)に入て仏教(ぶつけう)を
まなび終(つい)に天下
の博識(はくしき)となり後
密教(みつけう)を宗(しう)と弘(ひろめ)
し也ことさら書筆(しよひつ)
世に越(こへ)けり唐(もろこし)にて
【左丁 上段】
口(くち)両手足(りやうしゆそく)にて一時(いちじ)
に五字(こじ)を書(しよ)す
かるがゆへに五筆(ごひつ)
和尚(おせう)と称(せう)す帰朝(きてう)
して弘仁帝(こうにんてい)の
勅(ちよく)にて應天門(をうてんもん)
の額(がく)を書(かく)其(その)一点(いつてん)
を闕(かき)しより空海(くうかい)
茟(ふで)をとりてこれを
おぎなひ妙(めう)を
あらはすすべて
不思儀(ふしぎ)のことども
世(よ)に知(し)る所(ところ)なり
【17コマ目上段に続く】
【右丁 下段】
古法眼(こほうがんと)_一也(なり)祐雪(ゆうせつ)松栄(しやうゑい)永徳(ゑいとく)右(う)
京(きやう)左近(さこん)右近孝信(うこんたかのぶ)之(の)三子(さんし)探(たん)
幽守信(ゆうもりのぶ)主馬尚信(しゆめなをのぶ)永真安信(ゑいしんやすのぶ)
此(この)三家(さんけ)連綿(れんめんし)而(て) 公儀(こうぎの)御繪所(おんゑところ)
也(なり)従(より)_レ此(これ)別家(べつけ)弟子家(でしけ)有(あり)此(この)
外(ほか)者(は)町絵(まちゑ)与(と)云(いふ)雪舟流(せつしうりう)元祖(ぐはんそ)者(は)
【左丁 下段】
非(あらず)_二畫家(ぐわかに)_一禅僧(ぜんそうにし)而(て)相国寺(さうこくじ)之(の)至(いたる)【二点脱ヵ】知(ち)
客(かくに)_一性質(うまれつき)画(えを)好(このみ)而(て)師(しとす)_二周文(しうぶん)如拙(ぢよせつを)_一後(のち)
大明國(たいみんこくに)渡(わたる)帰朝(きてうし)而(て)防州(ぼうしう)雲谷寺(うんこくじに)
住(じうす)雪村(せつそん)継(つぐ)_レ之(これを)今(いま)長谷川(はせがわ)雲谷(うんこく)等(とう)
苗氏(めうじは)此(この)畫裔(ぐわゑい)也(なり)其外(そのほか)仏繪師(ぶつゑし)
風俗絵師(ふうぞくゑし)等(とう)也(なり)筆匠(ふでゆひ)者(は)書画(しよぐわ)共(とも)
【17コマ目下段に続く】