翻刻
【右丁 上段】
承和(しやうわ)二年三月廿一日
紀州(きしう)高野山(かうやさん)にて
入定(にうぜう)し給ふ後(のち)弘法(こうぼう)
大師(だいし)と諡(おくりな)を得(え)
たまふとなり
【左丁 上段】
唐土(もろこし)の三筆(さんひつ)【矩形で囲む】
張芝(ちやうし)は字(あざな)を伯英(さくえい)
といふ生質(うまれつき)書(しよ)を
このみしかば家内(かない)
のもの衣類(いるい)着類(ちやくるい)迄
こと〴〵く書(しよ)をなさ
ずといふことなし
常(つね)に麗水(れひすい)乏(とぼし)く
すゞりの水(みつ)に窮(きう)す
住(すむ)かたはらに臨(のぞん)と【てヵ】
其侭(そのまゝ)池水(いけみつ)を以て
書をまなびける
【18コマ目上段に続く】
【右丁 下段】
倭漢(わかん)雅俗(がぞく)各別(かくべつにし)而(て)可(べし)_レ應(をうず)_二其(その)流義(りうぎに)_一
染物屋(そめものや)者(は)紺搔(こんかき)也(なり)藍染(あいぞめ)第一(だいいち)也(なり)
浅黄(あさき)空色(そらいろ)花色(はないろ)萌黄(もえぎ)檳榔子(びんらうじ)
茜(あかね)蘇枋(すほう)欝金(うこん)兼房(けんぼう)鼠色(ねずみいろ)茶(ちや)
類(るい)者(は)数品(すひん)有(あり)定紋(でうもん)小紋(こもん)摸様(もやう)者(は)
時節(じせつ)之(の)流行(はやり)也(なり)紅染(べにぞめ)紫染(むらさきぞめ)屋(や)者(は)
【左丁 下段】
別職(べつしよく)也(なり)石工(いしく)者(は)穴太(あなふと)与(と)云(いふ)結砌(いしがき)礎(いしずへ)
甃(いしだゝみ)仏體(ぶつたい)灯籠(とうろう)水鉢(みづばち)塔(とふ)墳(はか)碑(いしぶみ)也(なり)
石(いし)者(は)諸國(しよこく)之(の)所産(しよさん)名品(めいひん)多(おほし)山谷(さんこく)
之(の)樵夫(きこり)炭焼(すみやき)獠者(かりうど)江河(こうが)之(の)漁(すな)
人(どり)潜家郎(かづきのあまにに)至(いたる)迄(まで)民業(たみのなりはい)若干(そこばくにし)而(て)
具(つぶさに)難(かたし)_二牧挙(かぞへあげ)_一【注】凡(およそ)諸職人(しよしよくにん)受領(じゆりやう)之(の)官(くわん)
【18コマ目下段に続く】
【注 「牧挙」は「枚挙」の誤記】