翻刻
【右丁 上段】
ずとも扨(さて)有べし
若(もし)用事(やうじ)これある
状(じやう)にいたりては事
の害(がい)たるべし殊(こと)
に貴人(きにん)へ奉る書(しよ)
状(じやう)には全(まつた)き字(じ)を
用ひらるべき也
▲用事(やうじ)に付てとり
かはす状はその用
事/落着(らくじやく)せざるう
ちはとめ置(おき)わが
返事(へんじ)の趣(おもむき)をも書(かき)
留置(とめおく)べし又/遠国(ゑんごく)
【左丁 上段】
より来(きた)りし状は
相(あい)とゞきたる日をば
書付(かきつけ)をき返事(へんじ)
せしむる時(とき)此よし
を申遣すべし人の
思(おも)ひよりてさし越(こし)
たるこゝろざしを
疎(おろそか)にせざる心也
▲疎意(そい)すまじき
人に久しく無音(ぶいん)
しては其/理(ことはり)を申
ひらく事/礼(れい)なり
然(しか)るをあるひは虚(きよ)
【9コマ目上段へ続く】
【右丁 下段】
花衣(とりゐ)随身門(ずいじんもん)神楽殿(かぐらでん)仏閣(ぶつかく)者(は)
四天門(してんもん)堂塔(どうとう)伽藍(がらん)庫裏(くり)客殿(きやくでん)
象鼻彫物(ぞうばなほりもの)廻廊(くわいらう)書院(しよいん)座敷圍(ざしきかこい)
之(の)物数寄(ものずき)萱葺(かやぶき)藁葺(わらぶき)杮瓦(こけらかはら)
見世店(みせたな)土蔵(どさう)文庫(ぶんこ)窖(あなぐら)任(まかせ)_二其(その)所(ところの)_レ望(のそむに)_一【注】
造営(ざうゑいす)又者(または)破損(はそん)等(とう)可(べき)_レ加(くはふ)_二修覆(しゆふく)_一也(なり)猶(なを)可(べし)
【左丁 下段】
_レ有(ある)_二勘弁(かんべん)_一持扱(もちあつかふ)道具(どうぐ)者(は)釿(てをの)鉋(かんな)
鑿(のみ)柊揆(さいつち)錐(きり)小刀(こかたな)鋸(のこぎり)挽廻(ひきまはし)《振り仮名:鼡|が■》
歯(り)斧(をの)鉄槌(かなつち)鐇(まさかり)玄翁(げんおう)鐁(やりかんな)曲尺(さしがね)
墨斗(すみつぼ)捻(すみさし)鑢(やすり)釘貫(くぎぬき)等(とう)也(なり)又(また)蓋屋(やね)
匠(ふき)者(は)檜皮(ひはだ)枌板(そぎいた)竹釘(たけくぎ)台切(だいぎり)片(へぎ)
包丁(ほうてう)谷(たに)之(の)取合(とりあい)破風(はふ)軒口(のきくち)惣而(さうじて)
【注 「望」にレ点があるため、「其(その)望(のぞむ)所(ところに)任(まかせ)」となる。レ点がなければ、「其(その)所(ところの)望(のぞむに)任(まかせ)」となる】