翻刻
日字(ニチジ)の瀧とてに虹の瀧ともいへり瀧壺へ礫(ツブテ)すれは忽
ち白虹立登る也瀧坪ふ深き也此流を虹見(ニジミ)川といへり
今あやまりて鼠川といへり此川に仏躰石とて有
源は宝嶺の南平よりなかれて二里余り流るゝなり
往来に拾間の橋有竹中橋といふ昔は藪中に
今も橋爪に竹中と百姓有橋の西に家のあるを
冥加谷といふ此散村に壱里半山の奥に石坂とて有
家拾軒余あり黒嶺大手にて城戸といふあり
又家跡大場の何ヶ屋敷跡抔とて委く有又往来に
鳥越坂とて城跡ありて是にも矢倉抔といふあり
是は鳥越の城とて黒嶺の取出しなりし由峠の
おりとに谷崎橋とて長三拾間の橋有此川を盤
若川といへりまんか渕とて恐敷あり川上に加護の瀧
盤若の洞抔とて有是も黒嶺の東平寺山奥山ゟ
なかれて大川なり惣の坊とて弘法大師住給ひし跡
あり惣して此山中に日字の瀧冥加谷盤若の洞加
護の瀧抔とてあるは大師の御旧跡にて今も山
中に護ヶ焼給ふ跡有又加護の宮とて