翻刻
此之路や三船の山にたつ鹿の 西行法師
声■にあけて鳴渡りけり
又真脇村の散村に姫といふ所有此礒の岩に陰門の形
あるにより姫の名有之し三船山に対して笏嶋錠
嶋とてあり秀景にて錠嶋は弁才天の社あり
又小木より真脇村へ廿七町有本馬駄賃三十六文なり
此村は六部公領也四部は私領也家居百七拾軒斗
あり入交て国中一の大■する所也公領庄屋七右衛門
井田氏也氏神馬座権現也神主高原氏也鷹王
山上日寺とて真言宗あり此寺昔百合若丸といふ人の
てふあい有し鷹海中に死て此の礒に寄其菩提の
為に建し寺といへり依之本尊千手観音は春日の作
にて美像也七ヶ年目宛開帳あり其時は鷹来りて
棟をさらすといへり其鷹の骸寄しより所を経
塚とて錠嶋の辺にあり此寺の二王尊は行基の
作にて馬の峠の古寺にありし也又新善寺とて
浄土宗より本尊は信州善光寺前立同木同作の尊
像也■の台座ゟ弐尺御たけ有厨子に 子つけて