翻刻
いへり又拾七八町山に神目伊豆比古神社あり今幽なる小
社也宮森広し神目の宮といふ境内に八重桜とて
名木あり花の比は見物あり小又ヶ谷内といふ也昔は
藤の名所にて谷川へ花の多流しにより藤波の
名有由武左衛門とて山廻り役の古き百姓有此諸橋の
郷に神目伊豆彦の神社とて額打所有いかにや
真嶋の宮森松か枝にかゝれる藤の盛
成に往来の尼の帋折の一句とてみれは
藤の花 所縁(ユカリ)もならて墨衣
かゝ有しをゆふにやさしくおもひて
いかならぬ花の所縁に藤の門
宇出津ゟ壱里三町本馬五拾壱文軽尻三拾
波並 壱文人足拾五文家数六拾軒斗猟所
にて能き村也
此村は後藤飯盛抔とて古き百姓あり又次郎兵衛と言に
日の丸の籏川の皷とて有謂いかなる物やしれす又唐
伝とて骨継の名薬有獺の伝へし方といへり妙栄寺と
て法花宗の能き寺あり是は飯盛弥左衛門とていひ