翻刻
登の国は往古ゟおしからることはありても
神の祟りにて其所少しなり潮の満つ
干によるにや汐の指引は人の呼吸にて
盤古氏の息なりと有水は陰積にして月
の出入に応する也北海は陰満て潮の就
満薄し南海は陽満て大干潟あり又地
形の高低によるにや此能登には希也又津
波とは和訓にて海嘯江嘯のことなる
へし
又万念寺とて禅宗あり氏神白山宮也鵜川村へは拾丁
有礒に寄り地といふあり其昔鵜川の天神御神躰葉
付ノ大根俵藻に乗り寄給ふ神地也今塩浜になりて
あり又此出崎を小倉の端とて弐ヶ所有何れも秀景
至極也此岡を桜木といふ則桜木の宮とあり御神躰
此花開邪姫の命也本地正観音也春日の作也相殿少比
古命は本地薬師如来は行基の作也境内に御手洗
の井とて薬帳あり能登十二薬師の内也昔は両部
習交の大社にてありしに平治年中鵜川合戦の