翻刻
能く登る国の鵜川に鮎すめは
高野に雉子は住ぬものかは
此鵜川の里にて越の一峯老に逢ひ
一夜風雅をかたりて
寄る波に尤いろ〳〵の藻塩草
又山田の郷昔長家の類葉秀次といひし人住て
城跡は印内村にあり位牌等は西安寺村の西安寺と
いふ禅宗に有寺中に太山府君の大木の桜あり花の
頃は見物也神道村に絜戒(ケツカイ)とて有松栢茂りたる
高山領也諸天明王の大石数千有皆建石になりて有
梺に前立とて長三間斗幅弐尺斗厚さ三尺斗の大石
あり是ゟ内は女入事ならす女鹿さへいらす此前の田
を舞台といふ昔は下の毘沙門とて大社の時寄舞
有し所といへり俗に石仏といへり又八田村に日出森とて田
中に小山の宮森有日の出に地より浮出し宮といへ
り又印内村大村にて公領也町といふに大社あり今
蔵権現とて今歳七月廿三日ゟ廿五日ままて祭礼あり
是を山田 御採(コサイ)とて諸商人集り群集の参詣あり神