翻刻
あり亀形の山也色々の物語有略す又龍村は鵜川々の
上三里にありて此奥山ゟ流出して一ノ瀧二ノ瀧とて二ッ有
昔此瀧に大蛇(ヲロチ)住て人を取喰ふ大穴抔命是を退
治ありて其霊を龍大明神と申して此瀧の本に社
あり此所の氏神也毎歳十一月廿八日祭礼にて此瀧坪に
俎(マナ)板石とて有此石上に鮭の魚二尾おのつから上りて
死して浮々流るゝ也是を取て咋へは癗(ライ)病に成
とて人恐れてくわす是昔の人御供の代りの生贄
なりといへり此村の内に暮の谷内とて此大地の尾に
釼ありて雨雲覆ひ重ていつもくらかりゆへの名
也則村雲の釼なりといへり其時の渕の跡とて今沼に
なりて有其大地の骨とて今八田村禅宗龍河山洞雲
寺にあり此謂にては盞嶋命(ソサノヲノミコト)の退散ありし山田の大地
に似たりいかにや此国諸国にて
にてかゝる旧跡所にあり又木住村に八郎左衛門とて利家
公御扶持頂戴の山廻り役有新田氏にて義貞の子孫
也尤炭を焼くこと家伝也御上へあくるなり
又鵜川村ゟ中居甲村抔へ行は礒伝往来あり拾丁