翻刻
此辺の山里に比しも霜随月のすへの三日の
一夜を明しけるに夜具とても一枚の
莚に兼縄をまけて枕とし寒夜の
つらきに家の内なる人々の不断の起伏
をおもひやられてさのみ寒からさり
しに
身の程を心にすます寒さ哉
又小田川ゟ三田町浦伝へ行は古君村とてあり助右衛門
とて能き百姓有蝶の鏡とて不思義なる鏡を
持伝へり又此村の姫崎とて妙泉寺地主権現の御
旅所有風景の地にて謂ある神地也此礒に井筒
波とて名所有相逢波ともいへり井 桁(ケタ)波ともい
へり
我意は名のみたてゝ諸橋の
わたし相合波の間もなき
つゝ井筒いつの名にのみふる君の
老(ヲイ)にけらしな波のかす〳〵
又古君ゟ五六町浦伝へに宇賀川村とて有此山手の