翻刻
岡■町に明泉寺村の白雉山明泉寺とて真言宗有
勅定山ともいふ孝徳天皇勅願所にして白雉年中
開基の寺にて本尊千手観音は春日の作とあり
霊験あらたなり其外行基菩薩弘法大師の作仏多し
昔は諸橋の郷寺領有中比頼朝卿三ヶ村を寄附有
しと此寺観音堂再構状に有其比大伽藍にして
今に拾丁の間礎等其侭あり今も畠山重忠の
寄進の石燈籠梶原景時の寄附の大石の手水
鉢あり頼朝卿其外将軍家廟所あり境内広し
大石塔多あり寺中に明星の池明星の石とて有
謂あり東鑑に建長三年五月若宮誕生祈の覚に
若宮別当隆弁に工藤三郎左衛門通泰をもつて能
登の国諸橋の保を下さるゝとありいかにや誠に一千
年余の古跡なれ数度の兵乱に縁記論旨院宜
も不残焼失せり又言伝へるは善無畏三蔵天丘伝
来の本尊千手観音にて末法結縁の為此所に
建置れしに其後天子の姫宮に癋(ヲシ)ありしを■の
乳母一集に空■に乗まいらせ捨られ給ふに此礒に