翻刻
[名護蘭]葉短 ̄シテ而厚 ̄シ。与_二柱-葉_一同 ̄シ。大 ̄サ僅 ̄ニ如_レ指。三-四-月開 ̄ク_レ花。
与_レ蘭無_レ異 ̄ヿ。一-箭八-九-朶攢-開 ̄ス。香-清 ̄シテ越(イヨ〳〵)-勝 ̄ル。蘭出_二名-護-岳
巌-石 ̄ノ間 ̄ニ_一。不_レ仮_二水-土 ̄ヲ_一。或 ̄ハ寄_二樹-椏-上 ̄ニ_一。或 ̄ノ以_二棕-皮 ̄ヲ_一裹 ̄ンテ懸 ̄ク_レ之 ̄ヲ。又
有_二[風蘭_一。]葉比 ̄スルニ_レ蘭 ̄ニ較(ヤヽ)長 ̄シ。香如_二山-奈茴-香 ̄ノ_一。蔑 ̄ノ_レ竹 ̄ヲ為_レ盆 ̄ト。懸_二-挂 ̄ス
風-前 ̄ニ_一。極 ̄テ易_二蕃-衍 ̄シ_一。俗皆尚 ̄フ_レ蘭 ̄ヲ。号 ̄シテ為_二孔-子-花 ̄ト_一。
[粟蘭]一-名芷-蘭。葉如_二鳳-尾_一。花如_二珍-珠_一。蘭又有_二[松蘭][竹
蘭][棒蘭_一。]《割書:状如_二珊-瑚樹 ̄ノ_一。綠-色無_レ葉。|花従_二椏-間_一出。似 ̄テ_レ蘭 ̄ニ較-小。》
[野牡丹]土-名𦬯。花-葉与_二牡-丹_一無_レ異 ̄ヿ。二-三-月花-開 ̄テ作 ̄ス_レ叢 ̄ヲ。
纍-纍 ̄トシテ如_二鈴-鐸 ̄ノ_一。素-弁紫-暈檀-心。如_二碗 ̄ノ大 ̄サ_一。極 ̄テ芳-烈。其 ̄ノ葉嚼 ̄ンテ
_レ之以為_二口-香 ̄ト_一。種出_二大-平-山 ̄ニ_一。又有_二[野海棠][仙人竿][箒桃]
[野-蘭_一]《割書:即中-国 ̄ノ|青-蘘。》
[文萱花]一-名歓-冬-花。花如_二萱-花 ̄ノ_一。特 ̄ニ小 ̄シ。葉有_二青-白相-間 ̄ハル
紋_一。
[山蘓花]一-名猿-莚-花。無_レ花無_レ幹。出_レ土 ̄ヲ長不_レ及_レ尺 ̄ニ。葉如 ̄ニシテ
_レ蕉 ̄ノ而小 ̄シ。堅-厚有_レ紋。
[雷山花]土-名古-茄。葉如_二鉄-梗海-棠 ̄ノ_一。花如 ̄ニシテ_二牽-牛-花 ̄ノ_一差(ヤヽ)-小。
鴉-翠-色。四-五-月 ̄ニ開。至 ̄テ_二 十-一-月 ̄ニ_一結_レ子 ̄ヲ如_レ豆 ̄ノ。苞如 ̄シ_二榴-房 ̄ノ_一。蔵 ̄ムルヿ
_レ子 ̄ヲ数-十-粒。可_レ種 ̄ユ。
現代語訳
【名護蘭】葉は短くて厚い。柱葉と同じである。大きさはわずかに指のようである。三、四月に花を開く。蘭と異なることはない。一本の茎に八、九朶が攢まって開く。香りは清らかでますます勝れている。この蘭は名護岳の巌石の間に出る。水土を必要としない。あるものは樹の枝股の上に寄生し、あるものは棕櫚の皮で包んでこれを懸ける。また風蘭がある。葉は蘭に比べてやや長い。香りは山奈や茴香のようである。竹を割いて鉢とし、風前に懸け挂ける。極めて繁殖しやすい。俗人は皆蘭を尊び、これを孔子花と号する。
【粟蘭】一名を芷蘭という。葉は鳳尾のようである。花は珍珠のようである。蘭にはまた松蘭・竹蘭・棒蘭がある。《形状は珊瑚樹のようで、緑色で葉がない。花は枝股の間から出て、蘭に似ているがやや小さい》
【野牡丹】土名を𦬯という。花葉は牡丹と異なることはない。二、三月に花が開いて叢を作る。房々として鈴鐸のようである。白い花弁に紫の暈、檀色の心で、碗ほどの大きさである。極めて芳烈である。その葉を嚼んでこれを口香とする。種は大平山に出る。また野海棠・仙人竿・箒桃・野蘭がある。《すなわち中国の青蘘である》
【文萱花】一名を歓冬花という。花は萱花のようであるが、特に小さい。葉には青白相間の紋がある。
【山蘓花】一名を猿莚花という。花もなく幹もない。土から出て長さは一尺に及ばない。葉は蕉のようであるが小さい。堅く厚くて紋がある。
【雷山花】土名を古茄という。葉は鉄梗海棠のようである。花は牽牛花のようであるがやや小さい。鴉翠色である。四、五月に開き、十一月に至って豆のような子を結ぶ。苞は榴房のようで、数十粒の子を蔵む。種をまくことができる。