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コレクション: STAGE2

安政見聞誌抄 - 翻刻

安政見聞誌抄 - ページ 38

ページ: 38

翻刻

  かゝる事も有へきなれハ一様にハ云難たけれとも地変   の端なれハ是又心得置へきなり 一予か友中村大作ハ十月朔日に所用ありて下総の中山へ参る然る  に次の二日の夜右の地震也因之下人十助に命置其侭江戸へ  馳かへりける《ルビ:尓|こゝ》に十助ハ要事を粗にとゝのへ五日の《ルビ:未下刻|七ツすき》より  中山を立出いそきに急てかへりけれと自然時うつりて本所押  上まて返る頃は夜亥の下刻となりぬ此とき十助ハ大に疲れ  最教寺の南方野辺道に腰をかけしばし休いるうち思ハす  ねむりて居たるに夜風の身にしむと灯燈のもへ立におとろき  目をさましけるにハツトもへし灯の影にいつの程にきたりけん一人の  若き女彳【徳、得の異体字】いたるに十介ハ膽を消し逃んとするに立事かなハす  唯身ふるひして恐るゝのミ此とき女かいハくさのミ恐るものにはべ  らす妾ハ柳島なる蜂須賀子大夫か女にて足下の主人大作主に  ハ由所有もの也此一包を大作主へわたし宜取計ひを頼まいらす  なり又是ハ足下に進らせんとなにやらん差出しけれ共唯〻《ルビ:怖|こハ》さに  顔をそむけて手を差出しけるに最重き一包なれハいかなる物そ  とふりかへり見るにはや女ハ扨置一人の影さへもなく手に一包を  持居たる也かゝる所に長居ハ無益といそき我家へ駈かへり主人に