翻刻
【右丁】
菥蓂(せきへい)【注①】
おゝなつな
ぐんばいなつな《割書:江|戸》
から〳〵
ねこのめ
ちうさく《割書:以名三名|大田氏》
やまさゝけ《割書:京》
うちわくさ《割書:尾|州》
やせまなく《割書:甲州|方言》
【右丁・下】
ウイルテケルス《割書:荷|蘭》 ブーレケルス《割書:同|上》
テラスピ《割書:羅|甸》
遏藍菜(あつらんさい)《割書:救荒|本草》
奇暦子(きれきし)《割書:長|崎》
武州品川 辺(へん)常陸(ひたち)の布(ふ)
施(せ)等(とう)の原野(けんや)にあり秋月
実(み)より生(せう)す冬(ふゆ)をへて凋(しほ)
ます春月 茂盛(もせい)し葉(は)は
蕓薹(うんたい)《割書:な》の葉(は)に似(に)て小く
互生(こせい)し稍(やゝ)臭気(しうき)ありて葱(さう)
に似(に)たり一茎 直立(ちよくりつ)高(たか)さ
二尺 許(はか)り末(すへ)八九寸 穂(ほ)になり
【右行文末「り」の横】●○
【左丁】
●○
薺(なつな)の如(こと)く四弁(よへら)の白花を開(ひら)き後(のち)
扁(ひらた)き莢(さや)を結(むす)ふ形 団扇(たんせん)の如(こと)く
大さ四五分中に褐色(うるみいろ)の細子あり
味(あしは)ひ微(すこ)し辛(から)し蔵器(さうき)菥蓂(せつへい)【注①】大而(おほいにして)
扁(ひらた)しといふこれなり和蘭本草(おらんたほんさう)に
根(ね)甘く稍(やゝ)辛(から)く咳(せき)を発(はつ)し吐血(とけつ)
するに此草(く[こ]のくさ)の絞汁(しほりしる)を服(ふく)し乾葉(かんやう)
を豆(あし)【足】の下(した)に敷(しき)て奇効(きこう)あり搗(つき)
爛(たゝら)し耳(みゝ)の中(なか)へ入(いる)れは歯(は)の痛(いたみ)
を治(し)す又 末(まつ)を酒(さけ)に入(い▢)【注②】れ服(ふく)す
れは難産(なんさん)を治(し)す
【注① 「菥蓂」のルビ、右丁「せきへい」・左丁「せつへい」は『新漢語林(第二版)』(鎌田正・米山寅太郎 著 大修館書店)では「せきべき」、「蓂」の読みは「めい」。国立公文書館デジタルアーカイブ(コマ43)では右丁は「せきへい」、左丁は「せつぺい」、目次(コマ33)は「せきへき」(『本草図譜巻之47・48』 https://www.digital.archives.go.jp/img/4676185)。】
【注② ルビの▢は「る」と「れ」を重ね書きしているように見える】
【二十六、二十九行目の○は右が鋭角の三角形ような記号】
【七行目割書の「以名」は国立公文書館デジタルアーカイブ(注①と同・コマ43)では「以上」】
【十行四字目「な」は別の字(「う」ヵ)の上から書いている】
【二十二行目文頭「蕓薹」のルビ「う」は「こ」「た」にも見える】