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コレクション: STAGE3

安政風聞集 上中下 全 - 翻刻

安政風聞集 上中下 全 - ページ 11

ページ: 11

翻刻

◯駿河路(するがぢ)へ懸り嶋田藤枝岡部(しまだふぢえだおかべ)まりこ何れも街道(かいたう)大木 倒れ旅(りよ) 中難儀(ちうなんぎ)に及(およ)ぶ処是又 所々(しよ〱)にありしよし府中(ふちう)ハ然(さ)までの事 無(なく)して 江尻(えじり)よりみのぶ道 子原万沢南部(こはらまんさハミなみ)等 人家(じんか)も古(ふる)き故なるにや多分 損(そん)じ家有しよし又 興津(おきつ)由井 蒲原(かんばら)是又松原 多(おほ)けれバ倒(たふ)れ木(き) 多く海道(かいだう)の往来難渋(わうらいなんじう)せしよしなりふじ川(かハ)も水 増(まし)て是またしバし 留(とま)りしよし夫より吉原原沼津海道(よしはらぬまづかいどう)ハさまでにあらねど脇(わき)へ入てハ 大分(だいぶん)の潰家倒(つぶれやたふ)れ木水(きミづ)増て水腐(すゐふ)の田地(でんぢ)も出来しよしなり ◯伊豆(いづ)ハ三嶋(ミしま)の一(ひ)ト宿(しゆく)より濱手(はまて)へ懸(かけ)てみつ戸田大田子(とだおほたこ)いろざき 殊(こと)に下田(しもだ)ハ出崎(でさき)なれバ風雨はげしく家(いへ)を倒(たふ)し且(かつ)ハ上(あ)げ汐早(しほはや)き が故につなき置(おき)たる大小の舟流(ふねなが)れ来りて難義(なんぎ)のよし然(さ)れども浜辺(はまべ)ハ 兼(かね)てより津浪(つなミ)の覚悟(かくご)なして有バ溺死(できし)の者(もの)ハ無(なか)りしなり仁田(につた) 韮山北条(にらやまほうぢう)辺ハ水の難(なん)ハなしといへども大木倒(たいぼくたふ)れ家を潰(つぶ)し怪(け) 我(が)せし人の少(すく)なからず夫より外浦(そとうら)かわづ赤沢川名網代(あかざわかハなあじろ)ハ風破(ふうは) の家少し是ハ風筋(かざすじ)を遁(のが)れし故なり ◯あたミハ然(さ)までの事無れど繁昌(はんじやう)の湯治場(とうぢば)なれバ遊山(ゆさん)の客(きやく)の多(おほ) き故にことなれざる他国(たこく)の人々大き驚(おどろ)き騒(さハ)ぎたるなり ◯相模(さがミ)へ移(うつ)り土肥真(とひまな)つる梅沢江(うめざハえ)の島(しま)此辺ハ下田(しもだ)に等(ひと)しき大 荒(あれ)なり 夫より長井(ながゐ)ハ船場故(ふなばゆゑ)大船小船打 壊(やぶ)れ又ハ丘岡(くがち)へ吹上(ふきあげ)られ破(やぶ)るゝ もの数知(かずし)れず網代(あじろ)より三崎浦(ミさきうら)ハ津浪(つなミ)に等(ひと)しき騒(さハ)ぎなれども 死(し)せる人ハ是なきなり又 浦賀走水(うらがはしりミづ)の辺ハ先(せん)年の津浪(つなミ)を知(し)れバ 然(さ)までにハ無(なし)といへども実(じつ)は恐怖(きやうふ)をなしたるとなり