翻刻
は物(もの)の腐敗(ふはい)すること極(きは)めて緩慢(くわんまん)なり凍点(とうてん)
に於(おい)ては腐敗(ふはい)の経過(けいくわ)全(まつた)く歩(ほ)を移(うつ)さヾるに
似(に)たり凍点(とうてん)より降(くだ)ること一(いち)二(に)度(ど)に至(いた)れば
体中(ていちう)の水液(すいえき)凍凝(とうぎよう)して腐敗(ふはい)の状態(ぢやうたい)全(まつた)く過絶(あつぜつ)
し毫(がう)も其(その)経過(けいくわ)を見(み)ず
ハルラス氏(し)止白里(しべりー)《割書:地(ち)|名(めい)》の北部(ほくぶ)に於(おい)て洪水(こうすい)以(い)
前(せん)《割書:前(せん)|世(せ)》の遺獸(いいじう)氷山(へうさん)に凍結(たうけつ)して其(その)肉(にく)尚(なを)腐敗(ふはい)せ
ず完(まつた)く食(くら)ふに堪(たへ)たるを検出(けんしゆつ)せり
有機(ゆうき)諸体(しよてい)人為(じんゐ)防腐防(ばうふばう)諸術(しよじゆつ)
諸術(しよじゆつ)或(あるひ)直(たヽち)に之(これ)を用(もちゆ)る者(もの)あり一(いつ)には外部(くわいぶ)よ
り侵入(しんにふ)するもの即(すなはち)酸素(さんそ)水湿(すいしふ)温気等(おんきとう)の透入(とうにふ)
を拒(ふせ)くにあり一(いつ)には防腐(はうふ)の諸物(しよぶつ)を用(もち)ゆる
にありこれ皆(みな)世(よ)の已(すて)に遍(あまね)く知(し)る所(ところ)の如(ごと)く
揮発精油(きはつせいいう)殊(こと)にテレビン油(いう)金属(きんそく)諸塩(しよえん)塩酸(えんさん)汞(こう)
塩酸錫(えんさんしやく)就中(なかんつく)防腐分(けれうそつと)を賞用(しやうよう)す又(また)屡(しば〳〵)これ等(ら)を
糖蔵(たうさう)諸料(しよりう)に合(あわ)せ用(もち)ゆることあり
第一 晒燥(さいさう) 凡(はん)百(ばく)なる防腐(ばうふ)の諸方(しよはう)に於(おひ)てこれ
最(もつとも)賞用(しやうよう)すべきの方(はう)なり然(しか)れども彼此(ひし)の故(こ)