翻刻
【右丁】
【上段】
おにわう新左衛門はこよひ八 ̄つ の
かねをあいつに三百両という金か
なけれはさかおもだかのよろひも
うけかへされず又とうとのゝ
お身うけの金も八 ̄ツのかねが
あいすさすれは六百両という
金がなければ御兄弟の大
もうも水のあは新左衛門か
身のなんきしんたいこゝに
きはまつたかはてなんとした
ものであらふ ̄ナアとかうらいや
のおやぢという身でうでを
くんでにらんだきり六百
年があいだひかたまつたよふ
にしていけつゆへそんなむづ
かしいでいりは四五百年あ
とにわすれてしまひう
つりひよんとしていたりけるが
女郎やのほうでもおなじく
わすれてしまひしか
どふしておもひたし
たかきうにおもひ
だして両ほうから
しりがくる
【中段】
いかにとしが
よつたとて
あまりせはしい
六百年が間 ̄ニ
どうできる
もん
た
はて
そんな
事も
あつたか
の
サア〳〵
八 ̄ツのかねを
六百ねん
まつた
金をだした〳〵
【下段】
しちといふ
ものは
八つききりで
ながすはづだ
六百年か
あいた
利あげも
せす
どふ
またれる
ものか
利はかり
一万
二千両
くつ
た
二 ̄タ月
ばかりは
まけてやらう
ちよつと入 ̄ルがへにして
かせなとはけつして
ならぬよ
【左丁】
【上段】
鬼王新左衛門は六白年めで
六百両のしりがきたれども
ぜにで六百のくめんもできず
女ぼう月さよとそふだん
すればこれも六百ねんが間
むちうでとしをとりければ
やつぱりそのしぶんの
廿四五のきどり大いそへ
身をうりおしゆうの
なんぎをすくひたいと
めだかじや ̄アあるめへし
てがるくすくふきに
なつてゐる
とんだ事をいふばゝ ̄アどんだ
六百廿四五になるものが
どふしてつとめが
なるものか
たなうけさへ
いやがつて引
とらねへ
【下段】
六百年があいだ
はだをぬいでうで
を
くんでいて
よく風をひか
なんだ二百年
ばかりあとに
くしやみをふたつし
たとおもつゝ
が
あのときに
すこしひいた
きみだわへ
酒ごもたるの
よろひはたく
あんじぶんで
なければ二百
ぐらいでは
かわふそふ
な
もんだと
らうも
して
むちやを
いふ