翻刻
法花堂の五兵衛とて古き百姓あり此者昔油見村
に有し者にて其時日蓮上人の御弟子に日像上
人北国法花弘通の間下向の時此者の家に御滞留
有て近郷の衆生に大乗の法味説き聞せ給ふ
折から近里麦生村今の妙法輪寺は其時は教院の
地なりしに其比の法印日像上人と度々の法論
有て終に法印法論に負け日像上人の弟子と
なり改宗ありて則此寺を法花の道場となし
給へり今も本尊阿弥陀と釈迦と左右に安置
あり両尊共行基の作也其外仏具にも今に不残
其時の仏器也又今濱法花堂五兵衛方に日像上人
御送物の日蓮上人御真筆の曼荼羅の一軸あり
御収納蔵弐筋其外御家中米蔵宿等有此今濱より
子浦へは壱里拾五町有本馬四拾六文也此上巻は是ゟ
三崎の郷狼煙迄親によつて外浦通りの事
を書載り末森子浦の事近里なれとも下巻
の末にあり
今濱より一宮へ行弐里に羽喰川尻川あり能州