翻刻
第一の大川也常に往還に舟渡有此川は羽喰の
瀉尻にて則羽喰村は川の南にあり能州一ノ高
処弐千石余の村也家数三百軒余有本念寺とて
羽喰郡の東方浄土真宗の触頭の録所也此御坊
の報恩講の時毎年八月廿五日唐戸山といふにけ
角力あり人集り賑敷事なり又当国間観音三十三所
札所の内拾五番の観音松岡寺といふは村の東
端に有今は寺なし御収納蔵数戸前あり散濱
村とあれとも名目はかりにて此村の支配也
散濱村続にて無高所にて猟師計なり又羽喰
の潟は村の北東よりにあり長壱里余幅廿二三丁有
潟縁村々多し名所も多し是は子浦川飯山川
其外南東の谷水流入也鯉鱣鮒の名物なり往古は
入海にて内浦所々へ続てありしに次第に陸地と
なりおのつから潟となりしといへり昔嶋国なりし時は
第六天の魔王悪鳥と化して人を取咋ふ気多大
明神宮平け給ひしより羽喰の名あり万葉の
歌に