翻刻
となり口より焔を吹かけ鉄をのわし刀にせり
此有様を見られらるを恥して数百の打たる
所の釼を持て波の上を走行妻別れにした
ひしを筐にし置一振りの釼を投げ与ひけり其銘に
鬼神大王波平行安とあり残りの釼をなけ込
しとてふこの七つ岩といふ所の深き海あり今
に其不思義あり又其屋敷跡は西の清兵衛と云者
の井戸其時より替らぬとて此水とかく穢たる
物洗へはたゝりあり又此家にて産する事今に
ならす此者より鉄をのばす事伝わりし也又釼
地の名も始れり
又 饒(ニギ)石(シ)川とて日本名所記又は方角抄抔に載
る出る所の川は釼地村の南の入口にある川なり
今誤りて錦川といへり源は馬場村の奥山ゟ
流て東より西へ流るゝ川なり歩渉の川也万葉
の哥に
妹にあわす久敷なりぬ饒石川
きよき瀬ことに皆うらはへてなん