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栗(くり)を付(つけ)るに及(およ)ばず茶人(ちやじん)は此 意味(いみ)を知(し)る事也 茶流(ちやりう)に
又 栗鉢(くりはち)といふあり昔(むかし)は茶事(ちやじ)に用ひたる道具(たうぐ)と見えたり
当時(たうじ)は其 沙汰(さた)を聞(きか)ざる也
茶事(ちやじ)会席(くわいせき)の料理心得之事
一 茶事の会席(くわいせき)はかつて料理にあらず依(よつ)て庖丁(ほうてう)の
花美(かび)を好(この)まず食(しよく)するものゝ味(あぢは)ひを本意(ほんい)とする故(ゆゑ)意(こゝろ)は
料理の二字に叶(かな)ふて面白(おもしろ)き事 多(おほ)し然(しか)るに会席(くわいせき)といへば
何か面白(おもしろ)き取合(とりあはせ)とのみ心得(こゝろえ)て食(しよく)するものゝ味(あぢは)ひを失(うしな)ふ
道理(だうり)を知らず会席(くわいせき)は二 菜(さい)三 菜(さい)に限(かぎ)り数菜(すさい)ならねば
塩梅(あんばい)の宜(よろし)きをえとす是(これ)を本意(ほんい)とすべし珍敷(めづらしき)取合の
悪物好(わるものずき)はかならず無用也其いにしへやんごとなききみ利久(りきう)の
亭(てい)へ御 立寄(たちよ)らせ給ひし時 利久(りきう)取敢(とりあへ)ず土器(かはらけ)にあらひ米(よね)を
盛(もり)て茶(ちや)を奉(たてまつ)りし事ありとかや甚(はなはだ)感(かん)ある事なり
膳部(ぜんぶ)の三 新(しん)の事
一 重(おも)き慶賀(けいが)などの振舞(ふるまひ)に膳部(ぜんぶ)の本二三の膳中(ぜんちう)に三 新(しん)と
いふ秘事(ひじ)あり本膳(ほんぜん)に杉(すぎ)の木地(きぢ)の小角に香物(かうのもの)を盛(もり)二 ̄ノ膳(ぜん)に
杉(すぎ)の木地の丸(まる)ものに敷味噌(しきみそ)を盛(もり)三 ̄ノ膳(ぜん)に杉(すぎ)の木地の地(ぢ)
紙(かみ)にさしみを盛(も)る是を膳中(ぜんちう)の三 新(しん)といふ也