翻刻
【右丁】
西洋医書をもきゝしらぬ輩は其まゝにてはわかちかたからん
と豊城本人の意をよく聞得て今時の人によくをしへ
さとさんかため我国の語雅俗をましへて俗情に通しや
すからしむすへての事みな此国の詞に引直さんと思へと
さては中々に廻り遠くわかちかたしよりて今の人の耳に
馴れたる漢文洋語は其まゝおけり○病名また分離の説
なと翻訳【飜譯】語の漢医の言来る所にたかひたるか多し又
其意味の違ふもあれはすゑにいさゝか書ぬきてしらしむ
猶うたかはしきは西洋医のよく心得たる人に尋ぬへし今世
西洋医術のひらけ行につれて漢医のさまてなき輩
【左丁】
みな兼学ふかことくさしあたりたる洋語を覚え心得顔に
説さとす輩多し心して尋ぬへし○洋語の侭なるは其意を
尋ねて説明すといへともこれ又其実は洋書の意味をよく
得されは弁へかたきも有へし其道に入て其語脈を能弁へ
されは言たらすをしへたらぬ事有これは此みちのみにあらす
何のみちにもある事なれはその事にのそみてよく
熟したる人に尋ぬへし
付言世に貝原益軒か養生訓と言書有人々能く知る所也
よく深切に説さとしたるものにて養生の大要はかなへるに似た
れとをしむへし天地間の究理又医術に人身究理の説なと