翻刻
火跡(くわせき)をとゝむ毒(とく)あるものは毒を去り毒(とく)なきも
のは毒をとゝむ一毒去事あれは又一毒を生す
るものは皆 焼雷(せうらい)のいたす所也 法苑珠林(ほうゑんしゆりん)に豕(いのこ)の
ことき物ありて雷を好て地より出て雷にした
かふといへるは是(せ)に似たる説(せつ)也此 獣(けたもの)を雷と称(せう)
するは大に非也地もし陽に近き時は土中よく
物を生するもの也鳥のことく豕(いのこ)のことき異形(ゐきやう)
なるものありて時〳〵これに触(ふれ)あたりて人 死(し)
す是雷にてはなしすなはち陽気の生する
所のもの也陽に乗(せう)して出て雷にしたかひ間(まゝ)
落ル事あるを是雷なりといふは非也
地震総叙
〇地はもと気(き)の渣滓(かす)也つまりて形質【左ルビ:かたちかたち】をなす
ものにして元気旋転(けんきせんてん)の中に束(つか)ぬるゆへに兀然(こつせん)と
して空(そら)に浮て墜(をち)す北極(ほつきよく)南極中心にいたり
て以て鎮(しつ)め定る也古人云天は静(しつか)にして動(うこか)す
地は動て転(てん)すたとへは舟にのりて行に舟は
動とも行とはおほえす岸(きし)を見れは岸うつり