翻刻
帯(たい)して略硝炱(ほくいしほり)のことく火熱発越(くわねつはつゑつ)して適(まさ)に雲際(うんさい)
に映(ゑい)して其 質気(しつき)にあふ時はひらめいて電光(ひなひかり)と
なり疾(はやき)事は金蛇(きんしや)のことく也火は迸(ほとはし)り土 騰(おとつ)て土
火の煉(ねる)にあふて凝(こ)りあつまりて物となる是
劈靂(へきれき)の楔(せつ)となる也 雷(かみなり)と電(いなひかり)と同躰(とうたい)也故に
火気雲を切てたかいに相 摩盪(まとう)して土気を
帯(をひ)のほりて一 斉点著(せいてんしやく)す其 電光(いなひかり)を見るに光
り目に入てたちまち声をなすものはすなはち
下落す電光ありて後しはらくして声をなす
ものは下落する事 希(まれ)也 雷鳴(かみなりなり)て電(なひかり)なきもの
は燥火(さうくわ)の気と雲のめくりと相あふて又よく声を
発(はつ)すれともいまた火 燃(もえ)さる也或は電光(いなひかり)して
雷(らい)ならさるものは雷声をろそかにしていまた曾(かつ)て
摩盪(まとう)せすして火すてに燃(もえ)る也それ雷に三種(しゆ)
あり一にいはく鑽雷(さんらい)といふ鑽雷とは光こまかにし
て火焔(くわゑん)のことく空を鑿(さくつ)て便過(すなはちよく)る二にいはく湃(はい)
雷(らい)と云湃雷とは落(をち)て物にあふても撃(うた)すして
たゝ 焼(やき)ちらすはかり也三にいはく焼雷(せうらい)といふ焼
雷とは陰陽鬱怒(いんよううつと)の気也地に悪気ありて適(まさ)
にこれと感会(かんくわい)する時は震(ふるふ)也落所にすなはち