翻刻
〇病(ひやう)人を占(うらなひ)又 産婦(さんふ)の吉凶(よしあし)を占に其あたりの
所に菰(ひきこまれ)ありて見れは死(し)の兆(うらかた)也
〇酒樽(さかたる)の破(やふれ)るを見れは其 家内(かない)に楽(たのしみ)つきて
かなしみを生すると占也
〇芝 蘭(らん)を見れは其人の身のうへに喜慶(きけい)の
瑞相(すいさう)と占也
〇瓦器(やきもの)を造(つく)るを見れは諸事 成就(せうしゆ)して後に
破てとゝなはさると占也
〇漁者(すなとりのもの)を見れは水 辺(へん)の利潤(りしゆん)を得しるしと占也
〇沼(ぬま)の旱(ひ)あかるを見れは其見る人の形貌(かたち)お
とろへるしるしと占也
〇山の重(かさなり)たるを見れは其 見(みる)人 諸事(しよし)に阻(へたてる)事
ありと占也
〇風はけしく吹か又は雷鳴(かみなりなる)時かにあへは諸事
に驚(をとろく)事ありと占也
〇公事(くし)訴訟(せせう)ある人 武士(ふし)を見るならは思とゞ
まりてよしと占也
〇瞽者(めくら)を見れは其見人かならす分別(ふんへつ)思案(しあん)
する事ありと占也
〇斧(をの)鋸(のこきり)を見れは其見人身を傷(そこな)ふの謹(つゝしみ)あり