翻刻
銘々野田へ逃出唯茫然たる有様也近郷村々ゟ親類
縁者へ欠付潰れ家の下ニていまだこえあるを掘出し
相助又火を防がんとなせ共中々刀【力ヵ】に及ず火勢ます〳〵
盛んにして風は未申の方より吹立如来御本堂 既(すで)に
あやうく見へ候所御屋根上三門之屋根上数多の人影 顕(あらはれ)
八方へ欠廻り飛火を防候地震ニもゆり潰れす焼失も
無之夜明テ御屋根を見あぐれば数多人壱人も不見
誠にふしぎなる事二候松代様より御防人数多勢イ
御召連御出役有之候六川御棟中よりも左之通り下後丁
火先は消口二相成候同夜命助り候ものは不残野中に伏雨
露にあたり地震は止之不申火気ははけしく二日二夜焼
誠に難義歎敷事言語に絶へ候
一御山内は大本願上人様御境内諸堂不残衆徒弐十壱院
中衆十五坊妻戸十坊不残焼二王門御堂庭小間物店
茶屋むしろ張の見せ物小屋類三丁余不残焼失別
当大勧進様半潰れ二而残る経蔵鐘楼堂万善堂