翻刻
【右丁】
は御一体のみにて在ます也○是即我等か
現世後世共にはからひ給ふ御主也○此御
一体をおかみたつとひ奉らすしては後生の
御たすけにあつかる事さらになし又此も
後生の道はきりしたんの御おきてのみ
にきはまる也 それによてきりしたんに
ならすんは後生を扶事有へからすと分
別しぬ
師 人間の事をは何と分別せられけるそ
弟 人間は色身計にあらすはつる事なき
あにま【注①】を持也○此あにまは色身に命を与へ
たとひ色身は土はいとなると云とも此あにま
【左丁】
はをはる事なしたゝ善悪に随て後生のく
らくにあつかる者也
師 よく分別せられたり☩かてきすも【注②】の信儀
のことはりより外にもきりしたんの知すして
叶はさる事おほき也
弟 其儀をうけ給れはこそ御教化にあつかり
たきとそんするなれ
師 是我等かねかう所也○まつきりしたんになら
るゝ事はいかなる人のしはさとかしれ
るや
弟 てうすのからさ【注③】を以きりしたんになる也
師 てうすのからさをもてとは何事そや
【注① アニマ(anima) ラテン語で生命や魂を意味する】
【注② カテキスモ 問答体の教理書】
【注③ ガラサ 恩寵・神のめぐみ】