翻刻
【右丁】
[かゐこやしなひ草 第十]
蔟(まゆはる)より糸(いと)を
おろし色(いろ)白く
いさぎよきを
細糸(ほそいと)のまゆ
とし
いろ黒きを
粗糸(あらいと)の
まゆとす
真綿(まわた)に
引(ひき)ても
上中下を
ゑらみ
わかち
形(なり)を
つくり
て
束綿(たはねわた)
幾(いく)ばく
把(は)と
する
なり
【挿絵内】北尾重政画
【左丁】
[かゐこやしなひ草 第十一]
蚕(かいこ)の神(かみ)を祭(まつ)る
事(こと)日本(ひのもと)の古(いに)しへ
を考(かんがふ)れば軻遇(かぐ)
突智(つち)埴(はに)山 姫(ひめ)に
逢(あひ)て雅産霊(わかむすび)
を産(うむ)此(この)神
の頭(かしら)に蚕(かいこ)と
桑(くは)となれりと
神代巻に見へ
たれば本 朝(てう)
にては雅産(わかむ)
霊(すび)を祭るべき
ものか又第廿二
代 雄略天皇(ゆうりやくてんわう)の
御 后(きさき)みつから
羪蚕(こがい)し給ふ事
日本紀に見へたり
唐土(もろこし)にては
黄帝(くわうてい)の后(きさき)
西陵氏(せいりやうし)を始(はじめ)と
すること
通鑑(つがん)に出(いで)たり
【挿絵内】勝川春章画