翻刻
【上段】
根源(こんげん)《割書:朝鮮(てうせん) 干牛丸(ひぎうぐはん) 《割書:壱貼 八十銅|半貼 四十銅》|秘伝(ひでん) 同練薬(おなじくねりやく) 《割書:百目 八匁|五十目 四匁》》
《割書:朝鮮|名方》人参奇応丸(にんじんきわうぐはん) 《割書:一服 百銅|半服 四十八銅》
《割書:かうのう包紙ニしるす| 》
此薬者(このくすりは)朝鮮国(てうせんこく)名医之家蔵而(めいいのかざうにして)世於優焉(よにすぐれたる)
神剤也(しんざいなり)常服之則(つねにふくすれば)使老為童(おひたるをわかやがし)身体壮健(しんたいすこやかに)行(ぎやう)
歩(ぶ)《振り仮名:如()_レ馳|たつしやに》潤骨髄(みをうるほし)黒毛髪(かみをくろくし)固歯牙(はをかたくし)於莫夭死(わかじにするの)
之憂矣(がいなし)寔可(まことに)云人家之至宝焉若在虚損(にんげんのいへのたからとするといふべし)
之人以欲補之則緩久於可(もしきよそんのひとおぎなひにのまんとおもはゞ)多服其効積(ゆる〳〵とおほくのみてよし)
日重月著也矣(そのしるしにち〳〵げんみへるなり)
一此くすり男女(なんによ)にかぎらず用(もち)ゆれば第一 脾胃(ひゐ)をとゝ
なふる事(こと)はなはだめうなり
一 脾胃(ひゐ)とゝなふゆへに気血(きけつ)をめぐらし中風(ちうふう)おこる事なし
一脾胃とゝなふゆへに腎水(じんすい)をまし膚(はだへ)をうるほし痩(やせ)たる人
に肉(にく)をつけ筋骨(すじほね)をさかんにする事(こと)めうなり
一脾胃とゝなふゆへに寒気(かんき)と暑気(しよき)にあたる事なし
一脾胃とゝなへば眼(め)かすまずみゝならず頭(づ)つうけんうんのぼせ
を引(ひき)さげこゝろはれやかになる事めうなり
一脾胃とゝなふゆへに食(しよく)をすゝめ一切(いつさい)ものあたりせず
一脾胃とゝなふゆへに全体(ぜんたい)すこやかなるによつてはやりやまひ
疫びやうをうけることなし
一脾胃とゝなひ下部(げぶ)あたゝまるゆへにべんしけきをやめ
寐(ね)にべんをとめる事はなはだめうなり
一脾胃とゝなふ故(ゆへ)腹下(はらくだ)るに用てしるし有事 神(しん)のごとし
一脾胃とゝなふゆへ持(し)びやうおこる事なし
一婦人 血(ち)の道 一切(いつさい)によし又は腰冷(こしひへ)月水不順(けいすいふじゆん)にて気(き)おもく
痩(やせ)おとろへぶら〳〵わづらふに用ひて大にめうなり
一 子(こ)なき女(おんな)に此くすりを用れば下部(げぶ)をあたゝめるゆへさつ
そくはらむ事うたがひなし
一 産前(さんぜん)に用ひて下部(げぶ)をあたゝむるゆへさんやすし産後(さんご)
に用ひて脾胃(ひゐ)をおぎなひ血(ち)をおさめ乳(ち)汁をおほく
出(いだ)す事めうなり
一 小児(せうに)に用ひて胎毒(だいどく)をくだし疱瘡(ほうさう)はしかをかろくし
むしを下し五疳(ごかん)を治すよつて心身(しん〳〵)すこやかなるゆへ
夜(よ)なきせず物(もの)ニ驚(おどろか)す流行病(はやりやまひ)をうえkず疫病(やくひやう)うくる事なし
○右(みぎ)之 外(ほか)かうのう書(かき)つくしがたしこゝに書処(かくところ)はわづかに九牛(きう〴〵)が
一毛(いちもう)をあらはすものなり能書(のうしよ)をもつてかんがへ満万びやう
に用ゆべし老若男女(らうにやくなんによ)一切(いつさい)病後(びやうご)に用ゆるときは元気(げんき)をまし
体をすこやかにするの妙剤(めうざい)なり
○もちひやう
○朝昼夜(あさひるよる)と三 度(ど)すきはらにさゆ又はあたゝめさけにて一度
に三十りうほどづゝ用ゆべし
○小児(せうに)は其(その)としの数(かず)ほどづゝさゆにて用ゆべし
○ねりやくは【○】ほどにして一日に三度用てよし
食物(しよくもつ)よろづさし合(あひ)なし
大阪天満なには橋北詰一丁目西
対馬浜屋敷門口弘所【印】
根元弘所は当浜屋敷門口一家にかぎり候処きんらい
やしき近辺に類薬おほく出来候間本弘所とくと
ぎんみのうへ其真偽をたゞし求めらるべし
【下段】
《割書:朝|鮮》秘伝干牛丸
此丸薬第一 脾胃(ひゐ)を調え気を増(まし)
食を進メ筋骨(すぢほね)を強(つよ)くし行歩(ぎやうふ)を
健(すこやか)に諸虚(しよきよ)百 損(そん)を治ス良法也
一男女 脾胃(ひゐ)虚弱(きよじやく)にして常に腹中■
あかく或は渋(しぶ)り又は痛によし
一男女手足 冷腰(ひえこし)膝痿癖(ひざしびれなへ)或はいたみ
又は老人寒気に堪(たへ)ず通夜(よもすがら)小便
茂(しげ)く摎(しぶり)疼(いたみ)下ルによし
一 虚労(きよろう)虚熱(きよねつ)自汗(ひやあせ)盗汗(ねあせ)によし
一 婦人(ふじん)月水調らず腰膝(こしひざ)疼(いたみ)白血長
血或は下性(げしやう)冷衰(ひえおとろへ)て久敷 孕(はらむ)事
なき症によし
一小児一切 疳症(かんしやう)によし
一中風一切によし
右服法は酒又は素湯(さゆ)にて一度に
三十粒ツヽ一日ニ三度服すべし小児は
其年数 応(おう)すべし食物万差合なし
尤神前仏前けかれなし
夫朝鮮牛は無病(むひやう)壮健(そうけん)の黄牛を撰(ゑら)み
数月黒胡麻にて蓄養(かいやしなひ)肥膚(ひふ)潤(じゆん)
沢(たく)なるを待て此を屠(ほふる)則他牛に倍(ばい)せる
凡高位高官の外諸人供する事能はず
依_レ之 濫(みだり)に殺(ころ)す事を禁(きん)す故に値(あたい)も貴(たか)し
外にも牛肉有といへども精味異法の功能
同しからず世上此薬の名目所々に多し
といへ共本 製(せい)の証跡を告(つぐ)る事しかり
大阪天満十一町目対馬屋鋪
調合所 舟越新七【印】