翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

浪華薬種問屋能書張交帖. 二 - 翻刻

浪華薬種問屋能書張交帖. 二 - ページ 40

ページ: 40

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ざるに産気(さんけ)付とて早(はや)まり用ひ一両日も産(さん)延引すれは薬(くすり)は大 便(べん)より下て 効なしよつてさんぜんに用ゆる的(めあて)あり下腹(しもばら)刺痛(さしいた)み腰(こし)に引 乍(たちまち)痛み乍チやみ 破水(みつはり)下り小便 頻(しきり)にはやくなるなり此時男子 新(あらた)に水を汲(くみ)少し温(あたゝ)め丸薬 を含(ふく)ませ此 湯(ゆ)にて丸 呑(のみ)に服用(もちひ)さすべし丸薬 取り扱(とりあつか)ひ湯を与(あたへ)る迄(まで)女の手を 触(ふる)るべからず男(をとこ)の手(て)にて致(いた)すべし▲第一 孕婦(はらみをんな)の常(つね)に心得(こゝろへ)あるべきは時の 変(へん)により異形(いぎやう)の子をうみ或はいろ〳〵の難産(なんざん)ありといへども此丸薬を用 咽(のんど)さへ通(とふ)したる者ならば身二ツにならすといふ事なし胎内(はらのうち)にて死(しゝ)たる 子は子胎腐化(このたいくされとか)し下るといふとも母(はゝ)の命(いのち)にさはる事なししかしかほどの難産(なんざん) なれば万に一 死(し)はなしといふにあらず若此丸薬服用して出 産(さん)ふきもの 決(けつし)て治せず▲此丸薬の玄妙(めう)なる事はさんけ付て五七日十四五日も身二ツにならず 諸医(もろ〳〵のい)の療治(りやうじ)手を尽(つく)すといへども験(しるし)なくいかんとも仕方(しかた)なき時此一丸を用ひ て安産(あんさん)する事《振り仮名:■の生る|ひつじのこをうむ》がごとし▲双子(さうし)とて一 腹(はら)に二人はらむ事あり始(はじめ)の 一 粒(りう)を用ひ壱人安産あらば跡(あと)より又い一粒を用ゆべし若三人あらば亦 一粒を用ひて平産すべし▲小さんにも用ひてよしさんぜんニ用ひて十十分の効 あり産後に用ひて六七分の効あり産前に丸薬 失念(しつねん)して不 ̄ル_レ用 婦(をんな)は産後(さんご) 用ゆべし諸症(しよしやう)ありといへども保養(ほやう)をさへ慎(つゝし)めば萬に一をも失(うしな)わず 右之丸薬予代々用ひ来り其効(しるし)を得(え)る事 皆(みな)人知(ひとし)れる所なり○婦人(ふじん)用ゆる 丸薬なるに女の手を触(ふれ)ざる事(こと)是(これ)秘事(ひじ)なり製薬(くすりこしらへ)の時だにもかならず先(まづ) 斎戒(ものいみ)沐浴(ゆあみ)して虔(うや〳〵しく)心(こゝろ)に発願普済(あまねくすくふことをねがひ)然後(そのゝち)一静室(ひとつのしづかなるいへ)を択(ゑら)み曳注連如法(しめをひきほうのごとく)調合(てうがう) し産婦あれば与(あた)へ連年(とし〳〵)応験(しるし)ある事 数(かず)へがたし一日(あるひ)近郷(きんがう)の医師(いし)来(きた)るニ さとして曰かくのごとくの秘方(ひほう)たりといへども願(ねが)はくは他国(たこく)に流布(るふ)せば 難産(なんざん)の婦命を助る事誠に仁術なるべしといさめに随ひ世人をすくわん がため世に広め諸人の望を叶べきもの也  紫陽長崎之郷椛島   調合所 《割書:古町|》久田道節 【印】  天明六丙午二月穀旦 此丸薬 予(よ)が父 道節(どうせつ)年久(としひさ)しく施薬(せやく)同前(どうぜん)ニ して与(あた)へ来(きた)り諸国(しよこく)におひても難産(なんざん)の婦(をんな)をすく ひたる事かぞへがたし此事(このこと)を聞伝(きゝつた)へ則 椛嶋(かばしま) 古町医(ふるまちのゐ)道節(どうせつ)の《振り仮名:伝■|でんじゆ》なりと偽(いつわ)り売買(ばい〳〵)いたす 風聞(ふうぶん)もあり又 類家(るいけ)の調合(てうがう)も有之(これある)ゆへ此度(このたび)価(ね)を 極(きは)め売弘(うりひろ)め候ニ付 本家(ほんけ)調合所(てうがうどころ)の名印(なゐん)所書(ところかき)能々(よく〳〵) 御 改(あらた)めの上御 求(もと)めなさるべし        椛嶋古町医           久田道節 本家 嗣子相伝 《割書:手水をつかひ|取扱ひなさるべし》 【印】 《割書:産前|産後》神霊一粒丸 経験捷方 《割書:女の手に触る事|御無用》