翻刻
【右丁】
省藤(せいとう)
【左丁】
一名 桃竹(たうちく)《割書:竹筍|之条》 桃枝竹(たうしちく)《割書:同|竹》 萪藤(くわとう)《割書:斉民|要術》
沙竹(しやちく)《割書:西域聞|見録》 藤竹(とうちく)《割書:斉民|要術》 とう
カンナリパクウュツト《割書:羅|甸》 ロツテインク《割書:荷|蘭》
和産なし先年 生草(せいさう)の渡(わた)りし時(とき)写生(しやせい)なり形状(かたち)碧蘿(へきら)《割書:うどのゝ|よし》の如く幹(みき)に竅(あな)
なく実(しつ)して棕竹(さうちく)《割書:しゆろ|ちく》の如(こと)く葉は竹葉(ちくやう)に似(に)て茎(くき)細(ほそ)く線の如くになり物(もの)に纏(まと)ふ
こと貝母葉(はいもは)の如(こと)く又棕竹の一葉(いちやう)の如(こと)し幹(みき)を包(つゝみ)て葉(は)を生す寒(かん)を恐(おそれ)て枯(か)る
尾州(ひしう)水谷氏寛政己未秋 摂州(せつしう)池田(いけた)より京都(けうと)へ持来(もちきた)る高(たか)さ二尺 許(はかり)竹葉(ちくやう)に
似(に)て厚(あつ)く光沢あり葉(は)の先(さき)曲(まか)りて釣(つりはり)の如(こと)しと云 枯(かれ)たるものは舶来(わたり)多(おほ)く諸(もろ〳〵)の
器物(きふつ)を巻(まく)に用ゆ此物(このもの)省藤(せいとう)に的当(てきとう)に非(あら)す赤藤(せきとう)紅藤(こうとう)と云 紅赤(こうせき)なる物(もの)
なり又 片々(へん〳〵)自解(しかい)とあれともとうは刀(かたな)にて割(わら)されは自(おのづか)ら解(かい)す物(もの)に非(あら)す然(しか)
れとも医学正伝(いかくせいてん)に理省藤(りせいとう)の名(な)あれは此属(このたくひ)なるへし西域聞見録(せいいきふんけんろく)に沙(しや)
竹(ちく)《振り仮名:似_レ葦|いににて》而《振り仮名:無_レ■|ふしなし》【注】実(しつ)心(しんにして)《振り仮名:為_レ用|やうをなす》甚多(はなはたおほし)と云
【注 ■は「艹+艮+阝」=「蓈」。これは「莭(=節)」ヵ。】
【十二行目「寛政己未」は寛政十一年】