翻刻
少(すこ)しも落(おち)ざる品(しな)本場(ほんば)の桑(くわ)にて
念者(ねんじや)の養製(やうせい)したる上種(じやうたね)と知(しる)べし
或(あるひ)は種(たね)不(ず)_レ冴(さへ)村(むら)に重(かさね)小粒(こつぶ)にて
赤色(あかいろ)に見(み)へ又(また)者(は)地(ぢ)〆(しま)らず粒(つぶ)抜(ぬけ)
たる所(ところ)あり或(あるひ)は一所(いつしよ)に重(かさね)曇(くも)り
油気(あふらけ)なく微(すこし)障(さはり)ても破羅々々(ぱら〳〵)と盈(こぼ)
るゝ種(たね)大下品(たいかひん)と心得(こゝろえ)又(また)種(たね)大粒(おほつぶ)
にて色(いろ)青(あお)きは夏蚕種(なつこだね)と知(しる)べし
春蚕(はるこ)は譬(たとへ)青色(あおいろ)なり共(とも)白粉(しろこ)を
吹(ふき)て小粒(こつぶ)なり其外(そのほか)再出(さいで)多(おほ)く又(また)
跡実(あとみ)沢山(たくさん)なるは暖(あたゝか)なる家(いへ)にて蚕(こ)
尻高(じりたか)く歟(か)或(あるひ)は上棚(うはだな)に揚(あげ)暑(あつさ)に中(あたり)