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コレクション: 小倉百人一首

小倉抄 - 翻刻

小倉抄 - ページ 10

ページ: 10

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   君かため 是ハ臣下へトモ云又仁明天皇へノ事共云為其若菜ヲ摘ルヽハ雪ノ頻ニフルヲ モ思召分ヌソトノ事也光孝天皇五十三マテ御代ヲ知給ハス 其以前ノ御哥也 仁和のみかとみこにおまし〳〵ける時に人にわかな給ける御哥仁和ハ則 光 孝時康ノ御事也 五十五代仁明天皇第三御子在位三年也凢歌に有心 躰無心躰ノ二アル物也 無心所君アリソレハワロキ也 此哥有心躰也心の残ル ヲイヘリ詞のたらぬを云哥トハ別也 能分別スヘキ也民ノ上ヲ思召タル王道 ノ肝心也ト云衹注ニ雪ハ若ノ方君ヲ思し偏ニ若キ計ヲ堪凌ク由也にて是モ 打ムキテハ只ウチ也光孝ハ五十三ニテ位ニ即給ヘリ殊ニ当代陽成院ハ継躰 ノ君ニモアラヌヲ我天下保ツヘキ計ヲイソカルヽ御心もましまさて其身親王 にての御時いかにも宝秨長久ヲト思給ヘル殊勝ノ義也君モ長久ニ民モ豊 ニト也惣別若菜計ハ人日ニ菜羹ヲ供スル計寛平延㐂ノ頃ヨリ麗ク 公計ニナレルニヤ其例可引勘心ハ所ハいつくそ春ノ野此ハいつそ餘寒ノ 雪中摘人ハ誰カアラウソ親王程ノ人ノヤン事ナキ也カヤウニオリ立 給ハ何故ソ君カ為也人日ニ菜羹ヲ服スレハ其人除万病邪気ト云 七種の羹ヲ供スル物也                 中納言行平  母阿保親王      たちわかれ 此因幡山ハ美濃国と宗祇註ニアリ又称若院は因幡国トイヘリ いな   はの山にて都にまつとしきかははやくかへらんニとの心也 俊成の餘ニくさり 過たると也とかへりこんにて《割書:蘇生か|そ制し》たるやう也トソ いなはの山ハ因州ト 濃州トノ両義也心はとてもまつ人は有ましき也 風躰ノヨキ計入タル也               在原業平朝臣   千はやふる 是ハ屏風ノ絵ヲよめる哥也伊豫ニ委ハ究タリ磐舟をとはせたる様の 事も神代ニハ有しかかやうに紅葉のちり敷たる河水は紅をくゝるやうナル 事ヲバ不見及不聞及と云心也紅葉のなかれてとまる湊には紅ふかき波 ヤたつらんの心也同時素性の哥也神代ニハ有もやしけん桜花 けふのかさし におれるためしは此哥の心もかよひたること也二条后ノ東宮ニテノ時屏風 ノ躰ヲよみ給哥也紅葉トモ木葉トモイハス奇特也神代ニコソ神変 もあれと也立田川ヲ唐紅ナラハ何テあらんこと也          藤原敏行朝臣 冨士丸子