翻刻
住のえの
昼コソ人目ヲ憚ル共夜ハ夢ニ成共自由ニ逢スシテ人目ヲよくるハ住江の岸ニ
浪か打テみるやうなるよとの哥也恋ノ哥也あら海荒磯ハ夢モさはかす
は道理也住江は南海なるにそれさへ目モアハヌ也さへやテ力ヲ入テ見ヘシ
伊勢
難波かた
芦ノ節ハ短キ物也てよとやハ逢すして過せとのそなたの心中かと也
此夢の世中ヲさへあはすしてすくすはそなたの心かと也 五文字ニ
君臣あり此哥ハ君の姿のノ五文字也頭ニ置五文字多き物也眼ヲ
昼間の様ニ入ル如ク也元来からを云タル心也みしかき芦のトハいさゝかなり
共ト云也
元良親王
侘ぬれは
難波のみをつくしにたとへて也只身を尽しても一たひ逢たきと思ふと云
心也 コレヨリフテタル心也 京極御息所への密通あらはれての哥也今から絶
たり共前の名か皆ニハ成りましき也前ニ立名は清メラレヌ物也澪標ハ難波ノ諑
也今ハタ【右横に「将」と傍記】也 迷言躰ノ哥也ワヒヌレハツネハユヽシキ七夕モ
素性法師
今こんと
今こん〳〵と云程ニ誠かと思ひて月の始ヨリ月ノ末マテ待程ニをのつから有明
ノ頃に成まて待ゆへ有明の月ヲ待取たるそと也冷泉家ニハ只一夜の在明
によまるゝ也二条家ニハ只春夏を待くらして又有明まて待たる也
月末までの事也
文屋康秀
吹くからに
夏はきかと草木かあるか秋に成て枯るハ尤山風をあらしといふかと也
草木の葉もしほれて落たるハけにも荒キ風吹たる程ニト云心也吹
からのからは則也本集ニハ野へとあるを直されてかくいれり嵐の事は秋か本
也羇中嵐ト云形に慈鎮と定家とは如何有へきとあるに後京極殿モ
雅にあそはしたる也山風字をわりたるは他流也木ごとにを梅と云類也
木の柴もあれは風に力ある者也吹からにはふけは則也宜哉山風ハアラ〳〵シキ物也
大江千里
月見れは