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コレクション: 小倉百人一首

小倉抄 - 翻刻

小倉抄 - ページ 13

ページ: 13

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此哥ニハ勝たる也泉川ハ山城也柞森ノ下也新古今ニハ初恋部ニ入なり 又ノ義ニハ未逢恋ナルへキト也そと逢見タル人中絶タルニ人こそあれ我ハ 思やマヌ也昔のみ【左に 如下】さる事ハ昔のヤウニ遠サカル也我忘レヌハいつのならはしそ 逢みぬナラハ年月ヲへたるニハいつみてカヤウニアレハ我忘レヌソト也心に不審                              シカケタル也                      源宗于朝臣      山さとは 是は秋程さびしき物ハナケレ共山里ノ草木モ枯レハ冬ハ猶さひしさ秋ニマサ レリト云心也寒天後是人の往還モをのつから絶はてたる程ニ人めも草 木も枯タルト云心大切也 まさりけるニテ秋ノさひしき心は治定シタリ秋ハ 紅葉ヲモ翫トイヘトモ冬ハ慰ム方ナキ心也山里ハノ五文字専要也四時ニ勝 タル冬景ノさひしさ也                      凡河内躬恒    心あてに 重語也心アテハ霜か菊かとを思ひ定テ心あて也霜と見て成共おらん白 菊ノ無類ニ霜ハ菊に色を加へ菊ハ霜ニ匂ヲ加へタル躰也菊ト霜トヲ 並へ賞【右に楚】スル躰也  霜霜の降テ菊を枯シタレハ何ヲ菊共知ヌ程ニ心アテ におらんトノ事也 権夕院ナトハおらはやおらんトハ折たらは折ははつすまし き程ニ心あてニ霜か降かくす共行ておらんと云也是もキコエタリ                      壬生忠岑    あり明の 不逢帰恋ト云題の哥也逢テ帰ランさへ暁ノ別ハ悲しからんニまして不 逢してむなしくかへらん暁ハ別メ【合字?】悲しき程ニ兎角暁程憂物ハ無 ト云心也 ふかき夜の別といひて真木の戸の明ぬにかへる身とはしられし 此哥の心也 顕昭【歌人】かみたるは逢て帰たると云たれ共只定家は不逢 して帰るノ心に叶たると也 此有明一夜ト云義又イク夜モト両義也有明ハ 久しく有物ナレハ強面ト也もし一夜ノ暁ホト【ヲを見せ消ち】世ニ憂物ハナキ也古今ニいつれか勝レ タルそと後鳥羽院ヨリ御尋ノ時定家モ家隆モ此哥ヲ申サレシト也                       坂上是則    朝ほらけ 吉野の道ニテの眺望也薄雪の降タルハ只有明の月のヤウナルそと也 《割書:為家|さらて》たにそれかとまかふ――   曙とは草木の色もみえわかぬ時分也 其後を朝ほらけと云也 源氏ニモ月ハ有明にて光おさまれる物から影