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コレクション: 小倉百人一首

小倉抄 - 翻刻

小倉抄 - ページ 26

ページ: 26

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   わか袖は 寄石恋也之来寄恋大半ノ物也縁多く成たかる物也沖の石よしいた つらに人のしらぬ心をよく尋ね出したり沖の中にある石はかはくまもな き物なれはそのやうに我恋はあるかと也 尾呂(びりよ)ト云石大海ノ水ヲ呑 又吐出スニヨリテ海水増減なきと唐ノ引斗【「知識の抽斗(ひきだし)」的な意味での用法ヵ】ニアリ此心ニカヨフ歌也                  鎌倉右大臣    世中は 世中の躰は只渚ヲ漕舟ノ如シト云心也常ニモ等也漕行舟ノ跡なき様ニ世中ノ 躰も常ナキニタトヘタリ只漕行舟ノ江のことしト也世中を何にたとへん―― みちのくのうらこく舟――ニ是を取テ心ハ漕行舟をとり詞ハ綱手かなし もをとる旅中ニ入無常ニテハなし常ナキ事ヲ観スル時ノ哥ナレハ無常ニ入ヘキ也 綱手漕之【?】無常を観したる也旅のゆから思ひ出たる也又しかも景気をおしむ 心あり渚こく綱手ハ入とり引とるいはて不時也是作例也                  参議雅経    みよしのの 別ノ事ナシ奈良ヲ故郷ニなしての事也みよしのの山の秋風か更たるニよりて 故郷さむく衣をうつと也 古今故郷さむく成まさる也の雪の哥を秋になしたる也 あたらしき也衣うつ声ニテ夜寒をもよほす也                  前大僧正慈鎮【慈円の諡号】    おほけなく おほけなくは不及と也うき世天下の人に我は墨染の袖をきせてをくと也 一切衆生の祈を毎日すれは墨染の袖をおほふそと也それは不及事なれ共 と也わかたつ杣に冥加あらせ給への心也護持ノ二間ノ夜居せらるる事也 天下太平聖朝ノ御祈は不及中万民快楽を祈る也戒徳も到らすし ておほけなきと也され共山にすめはそと也我たつ杣は叡山也墨染の袖 を住かたを両【?】にみるはわろし                  入道前太政大臣    花さそふ 庭にあらしの雪のやうに花のふるをみてその雪ならて我身に(も)【左に見消の「:」】たたふり 行かとの心也別の義なし 散はてたる花はいたつら物になる也といへとも 年〻歳〻花相似歳〻年〻人不同ノ心也人は紅顔にもならぬ物也 又こん春も花はさく也