翻刻
かすごとく動揺するを形容して名目とせるかなゐふるとは
重言のやうなれどもなゐは名目となれはなるべしと是
をもて思へは誠に小児の俗説なれとも大地の下に大
なる鯰(ナマヅ)の居るといふも昔より言伝へたる俗言にや
又建久九年の暦の表紙に地震の虫とて其形を
画き日本六十六州の名を記したるもの有俗説なるべ
けれとも既に六七百年前よりかゝる事もあれは
鯰の説も何れの書にか拠あらんか仏説には龍の所
為ともいへり古代の説は大やうかくのごときものなるべし
三代実録仁和三年地震の条に京師の人民出蘆
舎居于衢路云々こたひの京沙のありさまもかくのごとく
いと珍らかなり
地震に付て其応徴の事なとは漢書晋書の
天文志などには其応(オウ)色々記しあれとも唐書の