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コレクション: STAGE7

風俗畫報臨時増刊第百二十六號 洪水被害録(中) - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百二十六號 洪水被害録(中) - ページ 13

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【上段】 六時に至(いた)るの間 非常(ひじやう)の大雨にして此(この)四 時間(じかん)の雨量は百二十四粍 七、我曲尺(わがきよくしやく)四寸一分二厘、一 坪(つぼ)平方に附き二 石(こく)八升三合を降下 し尚ほ連続(れんぞく)し二十一日午前五時卅 分雨僅(ぶんあめわづか)に歇(や)むも天候再び雨意 を催せしが同日(どうじつ)も大雨、雨量(うりやう)は百三十二粍四、曲尺四寸三分六 厘一坪平方に附(つ)き二石四斗二升二 合(がふ)の多量を降下(かうか)し為に木曽、 揖斐、長良(ながら)の三大川は勿論其の他各川流共(たかくせんりゅうとも)一時に横流漲溢して 涯際を辨(べん)ぜず各所の堤防或(ていばうある)ひは平越と為(な)りて田野に氾濫(はんらん)し或ひ は決潰して比屋漂没(ひをくへうぼつ)の惨状を極む即(すな)はち木曽川は中島(なかじま)郡大浦村 に於て長良川(ながらがは)は各務郡芥見村、厚見郡(あつみごほり)は日野村、菅生村、方縣郡 長良村、寺田(てらだ)村、河渡村、本巣郡 穂積村(ほづみむら)の各所に於(おい)て揖斐川は 安八郡、落合村、今福村(いまふくむら)今尾町の各所に於て各々(おの〳〵)堤防破壊し 田圃は一 円(えん)に入水せり其(そ)の他支川 用水路等(ようすゐろとう)の堤防破壊等に至りて は枚挙に遑(いとま)あらず今其の浸水せし重(おも)なる部分を掲(かゝ)ぐれば厚見、 各務、方縣、羽栗(はぐり)、中島、海西、下石津(しもいしづ)、多芸、不破、安八、大野(おほの)、本 巣等の各郡町村(かくぐんちやうそん)に亘り孰も田園は濛々 渺万数里(べうまんすうり)に渉り一面湖海 の如く農作物は深(ふか)く水底に没(ぼつ)し又入水家屋は当に濁水(だくすゐ)の床上に 達するのみならず過半(くわはん)は軒擔を没し実に危険(きけん)を極めたるも県下(けんか) 各輪中の人民(じんみん)は連年水害に慣(な)れ居(ゐ)たるを以て其被害(そのひがい)の程度に比 すれば死傷 少(すくな)きは不幸中の幸(かう)と謂ふべきか然(しか)れども纔に其危難 を免れたる者(もの)は孰も切れ残(のこ)りたる堤防に縋(すが)り辛くして生命を全 くしたる有様(ありさま)にて身外 素(もと)より一物なく一粒の糲米(もつまい)、一滴の飲水 すら求むるに途(みち)なく老幼 堤上(ていじやう)に彷徨して飢渇(きかつ)に迫るの悲況に沈 淪せり因て先(ま)づ各所に於て焚出(たきだし)を為さしめ救助(きうじよ)方百方手配せる も浸水未だ減退(げんたい)の場合に至らず加之(しかのみならず)交通不便なるがため小屋 掛等の準備意(じゆんびい)の如く行届かざるを以(もつ)て罹災の窮民(きうみん)悉く未だ安全 に雨露を凌(しの)ぎ就眠(しうみん)するを得ず若(も)し夫(そ)れ此上各川水量相増せば 惨害果して如何(いかん)又県下水場に属(ぞく)せる部分の道路は大概(たいがい)堤塘上な 【下段】 なるを以て為(ため)に概ね交通を杜絶(とぜつ)し実況詳細取調難き村落多し其今 日までに知(し)り得(ゐ)たる被害(ひがい)の概況を挙(あ)ぐれば堤防 决壊(けつくわい)の甚しきも の百四十三 箇所(かしよ)、其他堤防の缺所 垂(た)れ所等(しよとう)にして其危険切れ所 に譲(ゆづ)らざるもの及 道路(だうろ)、橋梁等 夥多(くわた)にして未(いま)だ詳細取調行届か ず又幾万町歩に植附(うゑつけ)ある稲苗 其他(そのた)作物は長く水中(すゐちう)に浸潤せるを 以て悉く腐敗(ふはい)し到底回復の見込(みこみ)なし被害町村数は四百九十五箇 町村にして其人口(そのじんかう)廿二万四千五百九十一人、入 水(すい)戸数凡そ三万 千三百四十三戸、流失(りうしつ)五百八十八戸、全潰(ぜんくわい)八十四戸、半潰百二 十五戸、死亡者(しばうしや)三十三人、行衛不明十人、負傷者(ふしやうしや)十人にして焚 出救助人員は其概数(そのがいすう)は十七万五百七十人餘の多きに達(たつ)し又飛騨 国は電信不通(でんしんふつう)にして其 消息(せうそく)を知るに由なかりしが二十三日に至 り初て電信通(でんしんつう)せり該地方も二十日に暴風雨(ばうふうゝ)あり増田川宮川大水 高山町に於(おい)ては城山の東面(とうめん)崩壊し人家 全潰(ぜんくわい)十六戸半潰四戸、即 死七人 負傷者(ふしやうしや)十二人、船津町古川町に於(おい)ては或は人家(じんか)浸水或は 橋梁の流失(りうしつ)、道路の破壊等あれども其他(そのた)は未だ其 詳(つまびらか)なるを知 るべからず郡上郡(ぐんじやうごほり)も亦大雨のため諸川(しよせん)非常の出水にして 其八幡町 近傍(きんばう)に於て浸水 家屋(かをく)五六十戸に下らず其他(そのた)堤防に氾濫 し近傍数村 耕地(かうち)一円入水 浸水(しんすい)家屋深さは軒擔に及(およ)ぶ堤塘の破壊 九百三十五 間(けん)、橋梁流失十三 箇所(かしよ)、浸水家屋 凡(およ)そ八百五十戸を 越ゆ加茂(かもごほり)郡浸水戸数六百十七 戸(こ)、焚出救助(たきだしきうじよ)を受くる者凡そ二千 人其他 道路橋梁(だうろけうりやう)の破壊数箇所、武儀郡(むぎごほり)被害町村三十七、家屋浸 水三千九 戸(こ)、流失(りうしつ)二十戸、土岐郡に於(おい)ては土岐川満水田畑家屋 に浸入せる所(ところ)あり知事も親(した)しく被害地を巡視(じゆんし)せしが今回の災害 は近年稀なる惨状(ざんじやう)にして此盛夏の候(こう)も一度 其境(そのさかひ)に臨めば覚えず 満身膚にに粟(あわ)を生(しやう)じ憂慮措く能はず専(もつぱ)ら吏員を督励し一面 水防(すゐばう)上 警戒を加(くは)へ一面救助に従事(じうじ)せしめたり