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コレクション: STAGE7

風俗畫報臨時増刊第百二十六號 洪水被害録(中) - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百二十六號 洪水被害録(中) - ページ 24

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【上段】      ●丹波福知山の水害 福知山の風水害 福知山町は去る八月三十日の夜より暴風雨 にて翌(よく)三十一日午前二時に至り近傍諸川出水(きんばうしよせんしつすゐ)し土師川の堤防(ていばう)数 箇所决潰せしため聯隊區司令部(れんたいくしれいぶ)、高等小学校及び民家二百餘戸 流失(りうしつ)し死傷百名に及び惨状(さんぜう)を極めたるが此時(このとき)天田郡長柳島誠 氏も行衛(ゆくゑ)知れずとなりし由にて此報(このほう)京都府に達するや広沢保安 課長は食に被害地(ひがいち)に向け出発し続て本部京都府 書記官(しよきくわん)も出張し たり猶ほ墓地までも流れたるか棺桶(くわんをけ)及び屋根家具等の下流に流 れ来るもの多(おほ)かりしと言ふ亦日本赤十字社 京都支部(けうとしぶ)にて此報 に接し救護員(きうごゐん)を派出したるよし 福知山聯隊區書記全家溺死 出水(しゆつすゐ)のため丹波国 福知山聯隊區司(ふくちやまれんたいくし) 令部内(れいぶない)に居住せし書記某及び家族数名(かぞくすうめい)䙁らず死体さへ見当らず と 福知山の再水害(さいすゐがい) 九月十二日午前第二時頃より非常(ひぜう)の豪風雨と なり忽まち福知山字新町三戸を倒(たふ)したりしが人命(じんめい)には別条な けれども水害(すゐがい)を恐れたる人民は続々逃出(ぞく〴〵にげだ)して警察署郡役所へと 避難するもの非常に多かりしが幸に暫時(ざんじ)にして止みたり市街(しがい)の 掃除(そうぢ)は今日迄 人足(にんそく)一千人を採用したるに未だ一ヶ町に終りしの み今度全町を終る迄は少くも数(すう)十 日(にち)を要するならん然(しか)るに早く も一種の熱病(ねつべう)を生じ病者は日一日と増加(ぞうか)するものゝ如し避難処 は字内記と岡の間と舊劇場常盤館(きうげきぜうときはくわん)の流れ跡に築き貧民数(ひんみんすう)百 名(めい)住 居せり切(き)れ処は非常(ひぜう)に工事を急ぎ居れども数十日間にて復舊(ふくきう)す ること六ヶしかるべし(九月十二日福知山発) 福知山の惨況(さんきやう) 京都府下丹波国福知山に於ける水害惨況(すゐがいさんきやう)の詳報(せうほう) を得たれば左に之を掲ぐ 今回の水害は例年其比(れいねんそのひ)を見ず 同地は八月卅日より暴風雨(ばうふうゝ)起り 卅一日に至り福知山町を貫流(くわんりう)する由良川漲溢(ゆらがはちやういつ)し堤防三ヶ所を破 【下段】 壊して同町を浸(ひた)し遂に今回(こんくわい)の如き惨況を呈するに至りたりと元(ぐわん) 来同地(らいどうち)は戸数千四百六人口五千六百五十四ありて生糸(きいと)の集散地 なるが年々出水(ねん〳〵しゆつすい)の度毎に家屋の浸水(しんすゐ)することは珍らしからぬこ となれど従来の例によれば水勢(すゐせい)は常に福知山町(ふくちやまゝち)の下流に於ける 堤防(ていばう)を破壊し逆流し同町に侵入居たるも今回は(卅一日午前 一時)同町 上端(ぜうたん)なる蛇ヶ端の堤防(ていばう)を破壊し次で広小路堤防(ひろこうぢていばう)明庄 寺堤防の二ヶ所を破壊(はくわい)して三ヶ所より同町を侵(をか)したれば水は終 に屋根或は二階を浸すに至りぬ、恁(か)くて増水せしことは年々例(ねん〳〵れい) なきことゝて初(はじめ)の程はいづれも二階ならば安全(あんぜん)なるべしと信じ 居りしが水勢次第(すゐぜいしだい)に増加して階上の水は早深(はやふか)さ二尺に及びしよ り終に屋根(やね)を破壊して屋上に出で辛(か)らうじて一命を完(まつた)うするの 有様なりき 屍体発見及被害家屋 死傷者(しゝやうしや)の数は未詳(みしやう)なるも去九月四日迄 発見(はつけん)せし屍体は百十二亦流失家屋百廿八 全潰(ぜんくわい)百十三半潰三百三 十餘 全町流失(ぜんてうりうしつ)せしは西町、中野町等の士族邸(しぞくてい)及び貧民の部落な り 劇場(げきぜう)の全潰二十四名の死亡(しばう) 松井某なる人愛娘二人あり家(いへ)は劇 場常盤座なれば大丈夫ならんと駈(か)け付(つ)くるを見て娘二人を該座(がいざ) に連れ行き身(み)は帰りて他の家族(かぞく)を救護の際 宏大堅牢(くわうだいけんらう)なる該場も 遂に流潰(りうくわい)し場内に避難(ひなん)せる人々の内二十四名は死亡(しばう)し愛娘二人 も亦其中にありかゝる事と知らば該場(がいぜう)へは連れ行かざりしもの をと涙ながらに物語(ものがた)れり 姉妹相抱いて死す 水災(すゐさい)の前夜 聯隊區司令部詰(れんたいくしれいぶづめ)土佐曹長の娘柳 島群長方へ来り雨風(あめかぜ)の怖ろしき物語り抔なして又明日来(まためうにちきた)るべし とて帰宅(きたく)せしに其夜水災に遭ひ曹長(さうちやう)首め全家族六名悉く死亡す柳 島郡長退水後土佐氏の近傍(きんばう)に至れば前夜来りし姉娘(あねむすめ) (十三位)は 妹(いもと)と互に堅く相抱いて死し居たりと姉妹臨終(しまいりんじう)の情推し測られて