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コレクション: STAGE7

風俗畫報臨時増刊第百二十六號 洪水被害録(中) - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百二十六號 洪水被害録(中) - ページ 6

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【上段】 き場所(ばしよ)なるが故に田畑(でんばたけ)に被りたる損害(そんがい)幾何なるやを知らず埴科 郡に在(あつ)ては千曲川の大堤防(だいていぼう)五加村附近に於て百 餘間(よけん)の決潰を生 じたる外、沈床、岸圍等の破壊(はくわい)少からず又(また)上水内郡に在ては千 曲、三念沢、油沢、熊取、田子、鳥居、浅川の七川暴溢して大 小堤防の決潰(けつくわい)百九十二間に及(およ)び所在の家屋(かをく)殆ど皆浸水して中に は破壊 流亡(りうぼう)せるものあり又(また)更級郡中害の最(もつ)も大なりしは中澤、 共和、御厨、笹井、稲里青木島、真島、西寺尾、小島田、東福 寺の各村(かくそん)にして家屋の流失(りうしつ)せしもの八戸、同破壊(どうはくわい)二十餘戸あり 其の浸水(しんすゐ)せしものに至(いたつ)ては八百餘 戸(こ)のの多きに及び田地(でんち)の流亡約 百町歩、畑地の流亡(りうばう)八十餘町歩あり堤防(ていばう)、道路、橋梁等の破壊流 失は其(そ)の数(すう)を知らず此(こ)の沿岸一 帯(たい)の地に於て鉄道(てつどう)線路の破壊最 とも甚はだしきは牟礼(むれ)、豊野間にして今は僅(わづ)かに枕木を組み上 がて仮(か)りに軌道を敷設(ふせつ)し以て列車(れつしや)を通はしつゝ一 方(ぽう)には日夜多 数の工夫(こうふ)を役して修理(しうり)せり 千曲川下流の沿岸 下高井(しもたかゐ)郡中野町下水内郡飯山町同郡戸狩村 附近の地最(ちもつ)とも惨を極(きは)めたり此の兩郡内に於(お)ける千曲川の水量 は立ヶ花に於(おい)て三丈餘に及び延徳沖と称する部分の地は悉皆(しつかい)浸 水し此(こ)の地(ち)の道路を通ぜる電信柱(でんしんはしら)は一時其の上部を水面下(すゐめんか)二三 尺の処(ところ)に隠(かく)したり斯れば警官郡吏(けいくわんぐんり)は舟筏を浮(うか)べて必死人命の救 助に奔馳せしも尚(な)ほ溺死(できし)せしもの数名あり家屋(かをく)の流失は数十を 以て数(かぞ)ふるに至り其(そ)の惨況言(さんきやうい)ふに忍びざるものありしと云ふ 諏訪湖附近 上川 筋(すじ)に於て四賀村、字(あざ)白狐島の堤防(ていばう)五十餘間と 上諏訪町 字(あざ)蓮台場の堤防東岸及び字西 渋崎(しぶさき)の堤防 共(とも)に役十間づ ゝの破壊を生(せう)じ加(くは)ふるに諏訪湖の溢水 非常(ひじやう)なりし為め上諏訪町 及び四賀、豊田(とよだ)、湖南の各村(かくそん)は一様に浸水し耕地(こうち)数百丁歩を害 せらるゝに至(いた)り又同時に下諏訪町に於ても床上(しやうじやう)数尺の浸水を 受け為めに溺死者(できししゃ)二名を出し田畑(でんばた)数丁歩を流亡するに至(いた)りしが 【下段】 同地方に於(おい)て最とも大切(たいせつ)なる数ヶ所(しよ)の製工場は一も破壊損傷を 受かたるもの無(な)く孰れも一 時多少(じたせう)の浸水を被(かふむ)りしのみにて無事 なるを得(ゑ)たるは不幸中(ふかうちう)の幸なりしと言(い)ひ居(を)れり 松本の水害に就(つゐ)ては更に左(さ)の報道(はうどう)ありたり 信州松本町の附近(ふきん)を流るゝ女鳥羽川(めとはがは)及び薄川は去(さる)廿一日の朝増 水して忽(たちま)ち沿岸に汎濫(はんらん)し松本町一 面(めん)をして湖水と化(くわ)せしめたり 其被害の甚(はなは)だしかりし箇所(かしよ)は博労町、本町(ほんまち)五丁、幅上、東町、 櫻河岸、天神、上土等(かみつちとう)にて住民は何(いづれ)も家財を流亡し辛(からう)じて高地に 遁たるが其中(そのうち)拾餘名は遁路(にげみち)を失ひ濁水の間(あひだ)に捲込まれて溺死し 去廿三日 迄(まで)に死体の発見(はつけん)せしもの四名に過(す)ぎざりき市中(しちう)にて被 害を蒙(こうむ)らさりし箇所は舊丸之内(きうまるのうち)及び田町 新田(しんでん)町のみにて其他は 多少の被害(ひがい)を見ざるなく東町(ひがしまち)の水は鍛治町の水(みづ)と合して一大瀑 布をなし女鳥羽川(めどはがは)に注ぎ上土の水(みづ)は大流となりて緑(みどり)町堀に注ぎ 為に水先(みづさき)に向たる家屋(かをく)四戸は堀中に埋没(まゐぼつ)せられ水の深(ふか)さ丈餘に 及びたりき緑町の東側(ひがしがは)卅餘戸の二階下は泥濘(でいねい)に没(ぼつ)し且道路の一端 陥落して長(なが)さ三間餘深さ丈餘(じやうよ)の池を現す又(ま)た神道公会所より郵 便局前迄は神道堀(しんどうほり)又は女鳥羽川の溢水(いつすゐ)して深さ四尺より五 尺(しやく)に 及び神道公会所前の堀(ほり)は殺生(せつせう)禁断の場所(ばしよ)なりしに溢水のため鯉 鰻、亀、鯰等の流出(ながれいで)で警察署前の路上(ろじやう)に躍りければ人々(ひと〴〵)之を捕へ んとて非常に雑沓(ざつたう)を極め居れり本町五丁目より博労町、出川、新 谷辺は床上に泥土(でいど)を押上けられ其他(そのた)横町より東町(ひがしまち)に通する大橋 流失せしため東詰(ひがしづめ)は人家十餘 戸流亡(りうぼう)し松本尋常高等小学校は女 鳥羽川の奔流(ほんりう)する水勢のために同(おな)じく流失の難(なん)に罹(かゝ)りたりき市 外にては南深志一面水に侵(ひた)され本郷町 (松本町(まともとちやう)の北東)は田畑 浸水廿五 町歩(ちやうぶ)、流失田畑五町歩、其他納屋塀門(そのたなやへいもん)の破壊流失其数 を知らず此邊(このへん)の桑園は浅間(あさま)地方養蚕家の宝庫(ほうこ)とも称すべき場所 なりしに一 朝水害(てうすゐがい)に罹りて河原と化(くわ)したるは養蚕家のために非